光の国の一族達

「…はあ…」

らしくない溜息が出たのも木の葉のお偉いさんのせいだ。紅先輩の家から出て真っ直ぐに火影邸に向かい、綱手様に空き屋を確認してもらおうとしたら、

「こんな朝早くになんの用かと思ったらそんなことか。カカシと一緒でも構わんと言ったのはお前だろう。折角居候できる部屋があるんだ、別に移動する必要性はどこにもない」


…なんて言われて追い返されてしまった。移動する必要性は個人的にあるんですけど、なんて言う暇もなく…

「ああいうのを自分勝手っていうんですかね、多分」

大きく溜息を吐いて独り言を零しつつ、とりあえず任務の確認をしに行くかと火影邸の階段から重い腰を上げる。そしてふと顔を空へと向けると、見慣れた忍鳥が頭上で飛び回っていた。

「暗部…の任務ですか」

降りてきた鳥を手の甲に乗せると、足にくくり付けられた紙を開く。忍鳥が用は済んだからなというように飛び立って行くのを横目で見ながら手紙の内容に目を走らせた。内容は抜け忍だという男2人の暗殺。どうやらビンゴブックにも載っているようで、ポーチからビンゴブックを取り出して調べてみればいかにも悪そうな顔が2人並んでいた。ツーマンセルの、相方は。

「ウミ」

後ろから声をかけられて振り向けば、そこにいたのはちょうど本日丁度ツーマンセルを組む相方の姿があった。ゲンマ先輩お久しぶりですね。そう告げれば「もうちょっと嬉しそうにできねえの?」なんて苦笑いされて、髪の束を撫でられた。

「そういうタラシなのはどうかと思いますけど」
「…まァ、セクハラって言われないだけマシか」
「言われたいんですか」
「言われたくねえよ。それよりあと30分後にご意見番のお2人の所に行くだろ?ちょっと朝飯付き合ってくんね?」
「お1人でどうぞ」
「暇なんだろ、ここでぼーっとしてたってことは」
「ストーカーなんて悪趣味ですよ。それよりご意見番のお2人の所にって…なぜですか。それになんで特上のゲンマ先輩が暗部の…」
「今回の任務、ご意見番の2人からの通達なんだよ。1番最後に書いてあんだろ?本当はヤマトにする予定だったらしいんだけど、まだ完治してないから駄目なんです!ってセナの猛攻撃にあったらしくてな」
「強者…」
「つーわけで俺に仕事が回ってきたんだよ。分かったらさっさと飯行くぞ」
「なんで強制連行…」

なんだか今日のゲンマ先輩は少し強引だなと思っていると、ぐいっと掌を掴まれた。なんで手、引っ張られてるんですか。いつもだったら無理は言わねえけど、とか言う癖に…ぼんやりと握られた手を見つめていると、カカシ先輩とは違う男の人の匂いが鼻を掠めていった。








ウミとゲンマが定食屋に向かっているのを見ながら、火影邸の屋根上にいた影分身のカカシが溜息を吐いた。なんで手なんか繋いじゃってるワケ?ゲンマのやつ、俺が近くにいるのわかっててやってるだろ…こっちは任務だってのに…ほんと、油断も隙もない奴め。

ゲンマの行動にイラつきつつ暢気に任務待機中しているだろうオリジナルのカカシは何をしているんだろうかと考えながら、カカシの影分身は定食屋の屋根上に飛び移った。








資料室でシカマルの持っていた資料全てに目を通したカカシは、目線を資料から離してシカマルの目を見据えた。

「…シカマル、これは全部真実なのか?」
「真実っつーか…調べた結果ッスよ。ほぼ間違いはないと思いますけどね」

これが本当に真実だったら…ユニも恐らくは。

2015.02.12

prev || list || next