透明傘 | ナノ
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俺が高1になった年の、梅雨。

雨の日はもとから嫌いだった。
じめじめしてベタベタするし。

ただでさえ灰色の空で真っ暗なのに、
土臭い水まで降ってくるから。

まるでラジオの雑音のような雨の音と、
目が瞑れるような眩しい光

そして、透明なはずの水が真っ赤に染まっていったあの日。


その雨の日に俺のすべてを持っていかれたから、



俺は嫌い。







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bkm