03


都合のいい関係って言ったけど、駒田さんと一緒にいると時々罪悪感で気が沈む
片想いの恋をどうにかして晴らしたいからと言ってこんな関係を持つのはどうかと思う。

苦しくて、ツラくて、夜のそういう所を彷徨いていて最初に出会ったのが駒田さんだった


「若いのにこんな所いると食べられるよー?」


そう言って俺の顔を覗いてきた駒田さんを今でもはっきり覚えている

あのときはもう少し明るい茶髪で、
すっごい美形な人だなと思って体が固まった

初めてあったのが駒田さんで良かったと思っている
お互い都合のいい存在だから。


俺って汚い。





「うみ、顔色悪くない?」

次の日の朝、廊下で偶然擦れ違った秋斗が俺の肩を掴んだ
触れられた部分からじわりじわりと広がっていく熱

からだが反応しないように、我慢しながら顔をあげた

「おはよう、秋斗」

「うん、おはよう……すっごいクマだよ顔も白いし」

「…昨日、眠れなくて」


いや、正確には寝させてもらえなかった
あのあと、何回体を重ねただろう

全体的にダルい体と、かすれた声

駒田さんが、昨日は珍しくしつこかった。
なんで彼はあんなにも体力がもつんだろう。


「何かあったの?」

「知り合いと会ってたら、家に帰ったの朝の4時」


駒田さんが車で俺の家まで送ってくれたから、大丈夫だったけれど
おかげで授業全部寝てる。

ハハとかすれた声で笑う
もし、男と寝てたからなんて言ったら秋斗はどういう反応をするのかな。


「……ふーん…」


秋斗がワントーン低い声で返事する


「あ、そういえば昨日メール気づかなくてごめん」

今朝気づいたからわからなかった

「いや、いいよ」

ニコ、と笑う秋斗
まあ、俺ごときのメール返信なんてどうでもいいだろうけど

移動教室という理由付けで俺はさっさと秋斗から離れた

なんで優しくするかな
いや、秋斗は俺を親友と思ってるからなんだろうけど

俺はお前に失望されたくないから、離れたいのに。
俺が女だったら、ちょっと嫉妬とかしてもいいのかな。

………こんな事ばかり考えて前に進めない俺は、いつ変われるんだろうか。





優しくしないで