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「なんで?俺うみのことならなんでもわかってあげられるのに」


そっ、と俺の手を包み込むように重ねる秋斗の手

秋斗の顔を見れない俺は、秋斗の手に視線をおろし声と呼吸までもを感じ取っていた

わかってあげられるって…同情のつもりか?
そんなのウソだ


だったら、この感情をどう理解してくれるんだよ



「お…まえにはわからねぇよ」

「あの男よりずっと俺の方がわかってるって」


ギシリとなるベッド
きっと秋斗が俺に少し近づいた音だ

あの男って、なんで駒田さんと比べるの


「うみは人と関わるのが下手くそで、団体行動が嫌い。好きな食べ物はジャンクフードで嫌いな食べ物は納豆。癖は前髪を雑に払うこと。そんで俺の彼女が嫌い」


あってるでしょ?


ニコリと笑う秋斗の最後の言葉に俺は固まったまま
そりゃ、親友だったから俺の事は知ってて当たり前だけど、


「おれ、別にお前の彼女の事…」

「よく軽蔑な眼差しで見てるよね。わかるよその気持ち。俺もそういう目で見ちゃうときあるもん」

その言葉に衝撃を受ける
ふと見せた秋斗の冷めた視線

俺の知ってる秋斗じゃない。


「俺の彼女ねー…本当はね、うみの事が好きだったんだよね。」

「…は?」

「びっくりだよね。」


じゃあなんでお前の彼女なんかやってるんだよ
…いや、秋斗が彼女の事を好きで秋斗から告白したのか。秋斗は顔がいいから誰でもオーケーするよなそりゃ


そう考えていたら、秋斗が驚くべき一言を言ってきた


「ああいう調子乗ってる女って一番嫌いだな。うみもそう思うでしょ?」

「…な、…」

何言ってるんだ


「うみが迷惑かけられんなら、俺がかわりにって思ったんだ。」


だって俺、うみの親友だし。



そういった秋斗の声が頭から離れようとしない





俺の知らない君