誤算、伝染中 | ナノ
間違っちゃだめだよ


そしてまあ、色々ありまして。

今日は真澄に選び抜かれた精鋭?6人と顔合わせの日。
やっぱり真澄に選ばれるだけあって見たことはある奴らばかり。


うーーーん、だとしても
無茶苦茶嫌だこのイベント。


「今日は…その…集まってくれてありがとう、ございます。ご存知の通り俺が君たちのボスやらせてもらう住吉涼です。まじで運動が出来ないので君たちに多大な迷惑しかかけないと思いますがよろしくお願いします」

そもそも俺は人の上に立つような性格ではない。生徒会の役員のくせに何言ってるんだって思われるかもしれないけど。
頭を下げて自己紹介をすると、パチパチパチ!と盛大に拍手された。ひぃっ、やめて、恥ずかしい。


「じゃあ、そんな感じで自己紹介をして貰えますか。簡単なのでいいんで…3年生から…」


ここに真澄がいればなあ
もっとスラスラことが進むんだろうけど

そんなことを思いながら頬杖をついて自己紹介を始める人たちを眺める

3年の1人はバスケ部キャプテンでもう1人は眼鏡。なにかの委員長だった気がする。

2年は1人俺のクラスメートがいた。割と気さくなやつで何回か話したことがある。野球部で頭もそこそこ良い、溝内ってやつ。もう1人は知らん。バレー部の副キャプテンらしい。

1年のリーダーには、やっぱり小鳥遊がいた。まあ頭もいいし運動もできるから真澄に選ばれるだろうな。そしてそれ以外でも奇跡的に知ってるやつがいた。升谷だ。侑くんとルームメイトの。…まあ、頭良いいし、色々助力はしてくれそう。

適当な把握をした上で、どうしたもんかなぁ、と考える。正直誰かに投げてしまいたい。眼鏡かバスケのキャプテンに仕切ってもらおうかな。小鳥遊でも可、そういうのうまそうだし。

そんな事を考えていたら、トントン、と肩を叩かれた。
横を見てみると笑顔を浮かべてる小鳥遊。お前いつの間に俺の隣に移動してきたの。


「俺涼さんと同じチームで嬉しいです。頑張りましょうね」


ニコニコしながら、語尾にハートマークを付けて俺に言ってきた小鳥遊。
なんかうざいので、無視して正面を向きなおすと「あー、ひどい」と苦笑された。うるさいなあ、俺頑張るつもりなんてないのに。


そもそも今回どんなゲームをするかっていうと、他チームのカラーボールを当てられたらその人は負けっていう、鬼ごっこ式ドッチボールといった感じ。まじクソゲー。俺一瞬でぶつけられて終わる気がすんだけど。

学校全体を使ってやるゲームで、寮意外だったらどこでもあり。あと図書室とかそういうところも禁止だったな。いくらブルーシートで壁を隠すと言えど、汚れたら大変だし。


体育館から一斉スタートで準備時間に5分
その間に場所取りだったり色々確保しなければならない。カラーボールの補給はあちこちに置いてあるからいくらでもぶつけられる

優勝チームの決め方は、ぶつけられてない人数+ぶつけた人数×1.5で計算した点が多いチーム。ボスがぶつけられたらそのチームは-30点だからなかなかデカイ

さて…どう作戦立てていくかな


「あ、あの、書記様…」


今度は後ろから控えめに声を掛けられた。
今仮にも自己紹介中だっていうのに、みんな自由すぎやしない?
別にいいけどさ。

ちなみに、相手は升谷。


「住吉でいいよ」


升谷を見ながらそう言ったらパクパクと鯉のように口を動かした。
顔を真っ赤にしてふるふる震えている。

えぇ…?
どんだけ緊張してるの。この子いっつもこれだな。


「ぼ、僕、その・・・っ、す、住吉様を命にかけてお守りします!!」


そんでもってなんか凄い大それたことを言われた。
命にかけてって…
戦争じゃないんだから


「あ、そ、そう…」


ちょっと引いてしまいながら相槌を打った。
隣では小鳥遊が盛大に吹き出している。
いや、意気込みがすごいことはいいと思うんだけど、そんな目を輝かせていうほどのものでもない


「確かにボスを守るのが最優先事項だな。やられると30人分の損失ってのはでかいし」

「でも守りを固めてばかりだとあんまよくないんじゃね?ぶつけたら点数1.5倍だし」

「守り専門と攻撃専門に分けましょうか。拠点はどこにします?」


お、おぉ…
俺が何も話してないのに、みんな勝手に話し始めた。めっちゃ有難い。

他2年も積極的に参加してるし。
真澄の人選すげえ〜


「じゃあ、とりあえず3年の眼鏡さん…じゃなくて、ええと、須田さん?に指揮を取ってもらっていいですか?」


結局責任を投げることにした。だって俺向いてないもーん、作戦立てだって先輩に任せたほうがいいと思うし…

すると眼鏡さんは「わかった」と眼鏡をクイッてさせながら了承してくれた。笑うからやめろそれ。


「…升谷くんも、よろしくね」

「あれ、俺は?」


相変わらず俺をみてキラキラさせていた升谷にもお願いをした。
小鳥遊は無視。
なんか欲張りでウザいなこいつ。
今に始まったことじゃねーけど。



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bkm