誤算、伝染中 | ナノ
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どうして今日会長様ジャージだったんだろうね、

ジャージ姿も素敵だけれど


今日生徒会の見学にきた一年生のほとんどがそんなこと言ってた
やめろよ、俺罪悪感で爆発しそうになるだろ

当の本人は特に気にした様子はなく、いつも通り仕事をこなしてる。
なんか、機嫌、よさげだし…

そんなに俺があんな動揺したのが面白かったかね


「涼さぁ、会長になんかしたわけぇ?」

「へぇぁっ?な、な、んでですか?」


ペンが変な方向に走ってグシャグシャってなった。
あぁっ、活動記録書が・・・!


つか、なんか、って
なんだ…。



「昼休み戻ってきたときぃ、黒のTシャツになってたからさぁ〜。しかも顔でも洗ったのか髪も濡れてたしぃ」


あ、そっちか・・・。
有岡さんの返答にホッとする。良かった変な方じゃなくて。


「・・・・・・コーヒーを、ぶっかけちゃいまして」

「はあ?会長に?」


ギョッてされた。
そりゃあそうなるよな


「色々あったんです。んで手が滑ってバーッて。」

「色々ってなんだよぉ・・・」


教えられるわけないだろ・・・。
あと言ったらぜったい面白がるのが目に見えてるし。

荒ぶったシャーペンの跡を消しながら「色々ですー、」と答える。
今は数日に迫ったオリエンテーションの事色々まとめてる時間。

と言っても、千歳がほとんど準備してくれてたから何か一からやるってわけではないんだけど。


「涼」


うっ、


今ちょうど話していた人物から呼ばれた。
一瞬ドキッとするが、これ以上意識するまいと平静を保つ
なんか真澄に怪しまれてるし、ポーカーフェイスだ


「な・・・んですか」


警戒してる俺に、くっ、と笑いを抑えてる千歳。むかつくなブチ飛ばすぞ。
けれど、特に何をするでもなく普通に仕事の話をされた


「これお前のチームのメンバー割り振り。パソコンがランダムで割り振ったやつだから俺に文句言うなよ」


そう言って渡された、3枚のプリント。
ずらーって名前が書いてある。
えっ、これ俺のチームメイト?


「いっ、いつのまに!」

「一応運動能力の差が他チームと出ないようにバランス良く組まれてるはず。…これが紫乃の」

「ありがと」


一学年280で全校生合わせると840人いる俺らの高校
運営を体育委員がすることになっていて、だいたいそれが50人いるから790人がプレイヤーとなっている。

そう考えると一チームあたり大体160人いるわけで。


この大人数を俺が率いなきゃいけないの…!!?
無理ぃ!!


「とりあえず各々、各学年から二人くらいリーダー決めておけ。今週中に準備は終わらせとけよ」


メンバー表から血眼になって侑くんの名前を探してみたが、見つからなかった。
最悪っっっっだ!!!


「侑くんがいないんだけど!!」

「プログラムに文句言え」


千歳にあっさりスルーされた。
とんだクソプログラムだな!!!


「あ・・・俺のところに侑介くんいる・・・」

「ぐっ…、紫乃さんか・・・!!!」


よりによってまさかの紫乃さんチームに侑くんが行ってしまった。
ごめんね、と眉を下げてる紫乃さん。
そっ、そんな顔されたら怒れねえー!怒るに怒れねえ!!
これが千歳だったらすげえキレれるのに!!!


「ん〜?でも代わりに小鳥遊いるじゃぁん。」


俺のメンバー表をざっとみながらそう呟いた有岡さん
う、うわ…本当だ…。

知り合いがいたというのは、良いことなのか。
いや、でも小鳥遊だしな。

そもそも俺年下は侑くんと小鳥遊しか知らないし、
年上は千歳と紫乃さん有岡さんしか知らない。

タメは、まじで真澄しか仲良くないし。


つまり、人脈なんてクソみたいな俺。
なのにチーム戦を繰り広げなきゃいけない。


い、

嫌すぎる・・・。



「リーダー決めろって言ったって、俺わかんない…」

「あとで俺が見てあげるから」


半泣き状態になってたら真澄が俺にそう言ってきてくれた。
まっ、真澄!様!


「ちなみにこれ優勝チームになにあるんだっけぇ?」

「あー…」


なんか景品がどうとか前言ってた気がするんだけど…。


正直景品がなんであろうと俺はモチベ上がらない気がする。
侑くんの写真集とか使い済み衣服類とかだったら本気で他チーム潰しに行くんだけどな…。

むしろそれがいい。
欲しい。


けれど、真澄の口から出てきた景品内容はしょうもないものだった。



「食堂のランチ3回無料券ですね」

「・・・。」



い、

いらねーーーーーー。






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bkm