誤算、伝染中 | ナノ
25**

※性描写あるので注意※


真澄は俺の背中に自身の足を立てて、背もたれ代わりにしてくれていた。
横側から支えられるような態勢。正面に真澄の顔を見なくていいのは助かるが、真澄からしたらキツい態勢だろうに。


「…お前、優しすぎる…」


今更すぎることではあるけど、この状況があまりにも甲斐甲斐しすぎて真澄から顔を背けながらボソッと呟いた。

シャワーの温度を調整しながら、俺の首元からゆっくりとお湯を当ててくれている真澄。
真澄の優しい手つきにすら、身体を反応させてしまう自分にうんざりしてしまう。


「褒めてくれるなら俺を見ながら言ってほしいんだけど」


ボディソープをゆるゆると俺の二の腕に塗りながら顔を覗こうとしてくる真澄。
そんなの嫌に決まってる。そもそも俺の雌顔見ても面白くないだろ、と目をギュッと瞑る。

今だって、声を出さないように必死だし、普段使ってるボディーソープの匂いにすら、クラクラする。…こんな良い匂いだったっけ?これ、真澄のやつかな。


「ねぇ、身体くらい、っ・・・、じ、ぶんで」


胸板を真澄の掌が滑った時、耐えられなくなって制止の声をかけた。
胸の突起らへんを僅かに触れただけでも、気が気じゃない。

もう、口を開こうなら淫らな言葉が出てきそうなくらいにはずっと変なんだけど。


「ま、ますみ…?」


上擦った情けない声がシャワーの水音に混ざって浴室内に響く。
俺の訴えを真澄は聞く気がないのか、真澄は「うん」と言うだけ。

怠すぎる左手で真澄の手をグッと掴むけれど、逆に指を絡めとられてしまった。絡まる長い指。

そのままスルスルと手首、二の腕への上部に手が滑っていき、俺の顔を指で真澄側に向かせた。撫でられた左上半身がゾクゾクと波打ち、甘ったるい吐息が漏れてしまう。


「全然力入ってないじゃん」


真澄と目が合った。

…と思ったら、唇にひんやりとした舌の感触。そのゆったりした刺激に、全身が蕩けそうになる。
俺自身もうっすら口を開けてしまい真澄の舌を迎え入れてしまっていた。


「っ…ぅ、ン…ん、」


指先がびりびりと痺れるようなキス。
真澄の舌がゆっくりと俺の舌を撫でてきて、その耐えがたい気持ちよさに声が都度漏れてしまう。

シャワーの水なのか、自身の唾液なのかわからないが、顎に滴る水滴。
まるで獣だと他人事のように思いながらキスをしていたら俺の太ももに違和感が。

…ん…?なに…

ふと目をやると真澄の手が、お湯を含みすぎてぐったりしているメイド服の中に入っていた。

ボディソープでぬるぬるする指先が俺の内ももに触れた瞬間思わず出た声


「ッ‥ま、」

「早く処理したいでしょ、ここ」


俺が何か言う前に真澄が先に俺にそう囁いてきた。掠れた、低い声。

何もかもお見通しなのか、また深いキスを俺に落として俺を黙らせる。

や、ばい、これ…

真澄のキスに一瞬で思考を奪われる。
ただでさえ深すぎるキスに頭がドロドロなのに、際どいところを撫でられるせいで、座ってるのもしんどかった。身体をビクビクさせながら真澄の足にほぼほぼ体重を預けている状態。

真澄はそんな俺を支えながら、俺の下腹部の熱に触れてきた。他人に触られたことがない部分にぬるりと温かい指先が絡み、その瞬間に頭が真っ白になる。


…っ!!


「あ、ぁ、だめだめ、っ」


本当に自分の声なのかと疑うような嬌声。
咄嗟に真澄の手を掴もうとするが、空いている手で手を握り取られてしまった。

カタン、と音を立てるシャワーヘッド
床にお湯が流れ続けている間にも、真澄はゆっくりと俺の熱に触れる


「涼」


熱い真澄の吐息。
快感で焦点が合わない目でなんとか真澄の顔を見上げる。


「そこ、触っ…や、もう、ッイ…」


本能が一番求めていた所を触れられ、タガが外れたように口から喘ぎ声が漏れた。
薬を盛られてから、ずっと触りたくてでも触れなかった部分。

そんな熱を真澄の手で数回扱かれただけで、限界が来る俺。

やばい、やばい、なにこれ、
おかしいこんなことになったことない。
知らない、こんな…


「んン〜ー…ッ!」


俺の声にならない声と共に、ビクビクと大きく跳ねた身体。
頭が真っ白になる快感に、真澄の身体にしがみつきながら達してしまった。熱い真澄の身体。


なに、これ…


達した後も甘ったるい余韻に襲われ、しばらく、動けない状態になる俺。
女のような上擦った吐息が俺のものだと気づいた時に、ようやくぴくりと指先が動いた


「・・ん、ぅ・・」


その余韻が秒単位のものか、分だったのかわからないけど、朦朧としてる意識の中で真澄からのキスを受けて徐々に感覚を取り戻していった。チュ、と響く水音に生々しさを感じる。

…俺、真澄の手で…


「待ってね、泡流すから」


ぐったりしてる俺の顔を撫でてくれながら、首筋にお湯を当てていく真澄。
俺は人形のようにされるがままになりながらそれが終わるのを待つ。

あったかい…。なんか頭ぼやぼやする…
まだ頭がぼんやりするのは、イッたばっかだから…?それとも…。


「身体痛くない?床固かったでしょ」

「ん…へいき…」


ほぼ真澄にしがみついてたし、真澄に体重預けてたし。
何なら、真澄の方が痛かっただろ、床…

真澄に、お前は?と聞き返そうと顔をあげたらまたキスされた。何度目かわからないキス。

じんわりとした心地いいキスに身体が反応してしまうあたり、まだ薬残ってるんだなとうんざりする。


「ん…はッ…、んん」


俺も真澄の舌を追うように舌を絡ませてしまってる。
気持ちいい。これが癖になってしまったらどうしようかと不安を覚えるくらいには、すごく。

キスに夢中になっていると、下半身が軽くなったことに気づいた。同時にお湯の温かさを感じて、真澄が俺に気を使いながら下半身を洗ってくれているのだと気付く。

本当にどこまでも優しい奴だな、…今に始まったことじゃないけど。


一通り身体を流された後、真澄がバスタオルを取りに行ってくれて俺に被せてくれた。

さすがに全部やらせるのは気が引けたので、自分で身体を拭く。その間に真澄も着替えたらしく、部屋着の真澄がバスタブに戻ってきた。

俺、腰にタオル巻いてるだけの間抜けな姿なのに。


「まだちょっと顔火照ってるね。…立てる?」

「うん……え?」


答えてる間に、浮遊感。

俺に聞いておきながら、また俺を抱き上げた真澄に思わず聞き返してしまった。
たぶん、歩くことぐらい、出来ると思うけど…


「ごめん、やっぱりこっちの方が早そうだったから」


困惑する俺を見てか、謝られた。
いや、謝るのはこっちの方なのに、なんで謝ってきたんだと心の中で思う。優しすぎか?


「…ありがと」


ここは素直に真澄に甘えることにした。
真澄の肩にコテンと頭をのせる。身体があまりにも気だるすぎたから、抱き上げてくれるのはかなりありがたかった。




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bkm