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己の力で切り開け


すっきりと晴れた青空に浮かぶ白い雲。雲はゆっくりだがそれでも止まることなく流れている。今日は球技大会の日。普段とは違う1日に生徒達はとても楽しそうだ。しかし舞は特別に楽しむことは無い。それよりも眉を下げて困っていた。彼女の使命はボンゴレ10代目である沢田綱吉を守り支えることだ。そう思い舞は日々を過ごして来たと言っても過言ではない。


何故困っているのかと言うとツナは今日の球技大会の種目であるバレーの補欠として出る事になったのだ。小学生の頃からツナを見守って来た舞はよく知っていた。ツナが運動音痴だということを。ツナの性格上きっとこの間の死ぬ気弾の力の味を占め安請け合いをしてしまったことを全て舞はわかっていたのだ。


「(そんな状態じゃ死ぬ気弾なんて使えないしなぁ)」


どうツナをフォローしようかと、舞はむむ…と真剣に考えていた。そして今回はリボーンという優秀な家庭教師がいるではないかと思い舞は学校の何処かにいるリボーンを探すために校内を走り回った。


「(どこにいるだろう?もう、試合始まっちゃうよ〜)」


舞は一心不乱に走った。だがそれがいけなかった。舞の悪い癖は一直線に考えると他が疎かになること。今回の原因はそれだった。あろうことに前を見ていないで走ったせいで誰かとぶつかってしまったのだ。


「わっ」


思い切り走っていたせいかお尻からドスっと勢いよく舞は倒れた。


「(痛たた。誰かとぶつかるなんて最悪!)」
「ねぇ」


その声に舞は、はっとした。ぶつかってしまったのはどう考えてみても不注意だった舞の責任。早く謝らねばと舞は飛び上がるように立ち上がった。


「ご、ごめ」
「廊下を走るなんて校則違反だよ。だから君を咬み殺す」
「へ?……あっ!」


いきなり振り上げられたのは銀色に光り輝くトンファー。そのトンファーは舞の髪に触れたが舞は反射的に避け切ることに成功をした。


「へぇ」


学ランを肩にかけた黒髪の青年は元々つり上がっている目を細めまるでおもちゃを見つけた子供のように口角を上げた。


「今の攻撃を避けるなんて。君、只者じゃないね」
「え…っ。どっちかというとそんな武器を持ってる貴方の方が只者じゃないですよね……?」
「僕の暇つぶしになりそうだ」
「……?あのー。話聞いてますかーっ?」
「そもそも君は校則違反を犯したんだから、僕が鉄槌を下さなくちゃね」


やばい、話が全く通じない!この人は変な人だ!と舞の本能が直感する。舞はしどろもどろになりながら作り笑いを浮かべた。


「ぶ、ぶつかってしまったことについてはごめんなさい。反省してます。ですが………急いでいるので失礼しますっ」


ほとんど言い逃げのように舞は走り去り青年から遠ざかった。その場にお気に入りのブレスレットを落としていた事にも気づかずに。


その青年は落ちてあるブレスレットを拾い上げニヤリと笑った。


「また会いたいな」


この時の舞はまだ知らない。この人物がこの中学校いや、この並盛を取り締まる風紀委員長だった事を。反射的に避けてしまったことで目をつけられた事に。



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