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「ち、ちっ、ちがうんだ!ダメな奴だからだよ!」


ツナは山本の言葉を精一杯に否定をした。


「オレ山本みたいに何かに一生懸命打ち込んだことないんだ…「努力」とか調子のいいこと言ったけど本当は何もしてないんだ。……昨日のはウソだったんだ………ごめん!」


ツナは誠心誠意を込めて山本に頭を下げて謝った。山本は何も言わずにただツナの言葉に耳を傾けていた。


「だからオレは山本とちがって死ぬほどくやしいとか挫折して死にたいとか…そんなすごいこと思ったことなくて……むしろ死ぬ時になって後悔しちまうような情けない奴なんだ。どーせ死ぬんだったら死ぬ気になってやっておけばよかったって。こんなことで死ぬのもったいないなって……」


だからお前の気持ちはわからない…ごめんとツナは小さく呟くと、じゃ!身体の向きを変え走り出した。しかし山本が後ろから、待てよツナ…とツナのシャツを掴んだのだ。急に引っ張られたためツナの身体は後ろへと倒れてしまう。そしてツナの身体がフェンスを突き破り2人は真っ逆様へと落ちていった。


「や、やばい」


2人のやり取りを間近で見ていた舞はいち早く動き出した。なんと2人を追いかけるように屋上から飛び降りたのだ。落ちていく2人の叫び声とクラスメイトの悲鳴が反響する。そんな中舞は冷静にどうやって2人を助け出すか考えていた。


「(このままだと皆死んでしまう。何か助ける術は無いの?)」
「空中復活(リ・ボーン)!!」
「(リボーン!!)」


落ちていく中でリボーンがツナへと死ぬ気弾を額に打ち込んだ。死ぬ気になったツナは壁を伝い山本と舞を抱きかかえる。そしてリボーンに追加でスプリング弾を打ち込まれなんとか着地に成功をした。


「山本!大丈夫か?」
「ああ。ツナ!おまえスゲーな」
「えっ?」
「おまえの言うとーりだ。死ぬ気でやってみなくちゃな。オレどーかしちまってたな。バカがふさぎこむとロクなことねーってな」
「山本…!」


山本はどこか吹っ切れたように明るい表情を浮かべていた。ツナもそんな山本の顔を見て嬉しそうだ。


「沢田君、良かったねっ」
「あ、星野さん。って、星野さんまで落ちてくるなんてオレ吃驚したよ」
「あー。ごめんね?落ちていく2人を見たら居ても立っても居られくなっちゃった!」


本気で心配したよ!…と言うツナに対し舞は苦笑いで謝った。


「ははっ。星野って面白いのな。そんな奴だとは思わなかったぜ」
「沢田君のためならなんでも頑張っちゃうよっ!」


ウインクをしながら笑う舞にツナは…え"っと顔を引きつらせた。それを見た山本は大笑いをした。


「あははっ。ますます面白いぜ。さっきはありがとな。星野の言葉結構響いた」
「どういたしまて。あたしはあたしがしたいようにやっただけだから」
「あのさ、舞って呼んでいいか?俺のことも呼び捨てでいいからさ」


ニカッと真っ白い歯を見せながら笑う山本。何故かこの笑顔は断れないと舞は直感で感じた。


「好きに呼んでいいよ。じゃあ、武君で」
「おう!」
「じゃ、じゃあオレも舞ちゃんって呼んでもいいかな?」
「!もちろんっ」
「オレのことはツナでいいよ」
「…じゃあツナ君」
「うん!」


舞は内心ドキドキしていた。ただ苗字呼びから名前呼びに変えただけなのに2人との距離がとっても近くなったような気がしたからだ。


「武君、ツナ君。皆待ってるよ!教室戻ろ」
「おう」
「うん」


そして3人で教室へと戻った。3人の足取りはとても軽かった。そして彼らの纏う空気も。



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