絶対ダイゴ落ちになる世界vs絶対ダイゴ落ちになりたくない主人公
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※某漫画が元ネタ
※寝ぼけながら書いたお話し
※頭をIQ3にして読んでほしい








私は気付いている。

私はポケモンのアニメやゲームの原作ではない、二次創作の世界の人間だと。

しかもやっかいなことに、




「やぁ、美咲ちゃん。偶然だね」


「………ハハハ。4日連続の偶然ですね、ダイゴさん」




ツワブキダイゴ落ちの、二次創作の主人公だ。




*   *   *



思えば、このツワブキダイゴとの出会いも、まるで二次創作のような展開だった。




私は小さい頃から、ポケモンバトルよりもポケモンコンテストの方に興味があった。
幼少期に通っていたスクールでのバトルの成績は下から数えた方が早かったが、コンテストの成績はいつも上位だった。

単に勝ち負けのバトルはしたくない。
私は、ポケモンの魅力を最大限に活かしたバトルがしたいんだ。

…まぁ、バトルもポケモンの強さを最大限に引き出さないと勝てないんだろうけど、それはそれ。


そんなわけで、スクールを卒業したと同時に旅に出て、ホウエン地方のコンテストを回った。

そこそこ名前も売れてきた頃に、私とツワブキダイゴを引き合わせた原因の人物に出会った。

「美咲、先程のコンテストも実にマーベラスだったよ。優勝おめでとう」

「ありがとうございます。ミクリさん」


そう。

ツワブキダイゴの二次創作において、ほぼ100%の確率で登場するこの男、ミクリである。
しかもほぼ作中において、主人公をダイゴと奪い合うことはなく、逆に2人が付き合うまで恋愛相談に乗ったり、時にはアドバイスをするという、ツワブキダイゴ専用の恋愛サポーターだ。


とあるコンテストの後にミクリから話しかけられて私たちは出会い、後に彼の紹介でツワブキダイゴと出会うことになるのは、この時の私はまだ知らなかった。

というか気付かないでしょ。
自分が変な世界の主人公だなんて。

この時気付いていれば死ぬ気で回避したのにという後悔は、もう何度したかわからない。






「美咲、こっちはツワブキダイゴ。私の友人だ」

「こんにちは。よろしくね」

「よろしくお願いします。ダイゴさん」

「ダイゴ、彼女が美咲だ。話したと思うが、ポケモンコンテストのセンスがずば抜けている。今やコンテスト界で、彼女の名前を知らない人はいない」

「それは凄いね」

「ミクリさん、話し盛りすぎですよ」

「事実だよ」

「美咲ちゃん、でいいかな?」

「呼びやすいもので大丈夫ですよ」



こうして、ミクリの紹介で出会った私たちだったが、私は後に自分の存在とこの世界について、ある日急に理解した。というのも、

・やたらと街中でダイゴに偶然会ったり、
・頻繁にダイゴから連絡がきたり(しかもほぼどうでもいい内容)、
・ミクリと話していれば彼が苦笑して「私ばかり美咲と話していたら、ダイゴに怒られそうだね」と言ってきたり、

そして何より、

私のパートナーがメタグロス(色違い)だったり。



これもう完全にダイゴ落ちじゃん。
最終的に私とダイゴがくっついて、2人のメタグロス同士もくっつくやつじゃん。支部で億万回見たよ。


………と、気付いた日にはキャパオーバーして知恵熱を出したことは記憶に新しい。
熱を出したことがダイゴにバレて(なぜバレた)、どこから住所を教えられたのか自宅まで凸られて看病されたのも覚えている。むしろ忘れたい。
ていうか人の住所を勝手に教えたやつ誰だ。個人情報保護について1時間みっちり説教してやる。







はぁ。とため息を吐けば、不思議そうに首を傾げて名前を呼ばれた。

おっと危ない。今は家から1番近いフレンドリィショップにアイスを買いに来たところで、ダイゴさんとばったり会って声をかけられたんだった。

ていうか家から1番近いところで偶然会うってなんなの?
今日で3日続けて街のどこかしらで会ってるんだけど。
え、あなたの住まいはトクサネシティですよね?
キンセツシティじゃないですよね?


何かダイゴさんとのイベントでも起こるから、こうやって頻繁に彼と会うのだろうか。

好感度が上がるイベント発生とか本当に回避したい。

私は顔のタイプでいくとダイゴさんみたいな王子系よりも、雄みが溢れるキバナさんの方が好みだ。(※ただし性格はグリーンさんの方が好み)

どうするべきかと頭の片隅で考え始めた時に、彼からとあるお誘いを受けた。

「せっかく会ったんだし、お茶でもどうかな?」

なるほど?
このイベントは彼のお茶の誘いに乗ることで発生する?らしい。

それならば、


「ごめんなさい。急ぎの用事がこの後入っているので、お茶はまた今度お願いします」


本当は用事なんて無いけど、誘いを断ってしまえばこのイベントは起こらないはずだ。

最後に「誘ってくださってありがとうございます。」と続ければ、もう彼が食い下がることはなかった。

「そっか。忙しいときにごめんね」

「とんでもないです。今度は私からお茶にお誘いしますね」


勝手に思ってもないことを言うお口はチャックしましょうねー。


私がことごとくダイゴさんとのフラグを折るせいなのか、"世界"が私の身体を好きなように操るときがある。
先程吐いた言葉の後半もそれに該当する。

私の言葉を聞いたダイゴさんは、それはそれは嬉しそうに頷いた。

「あぁ!楽しみにしているよ!」

そんな未来はないから、決して楽しみにしないでほしい。

心の中で涙ながらに訴え、しかしイベントのフラグは今回折れただろうと安心して彼に背を向ける。

「じ、じゃあ私、行きますね」

何か話しかけられる前にと、手を軽く上げて1歩歩き出す。

「待って、」

歩き出した瞬間に、パシリと右腕を掴まれた。
誰かは言わずもがなである。

驚いて振り向けば、ニヤリと意地悪な笑みを浮かべたダイゴさんが私を見ていた。

そして彼は、意地悪な笑みを崩さずに言葉を紡いだ。







「今日は可愛い嘘に乗ってあげるけど、今度会った時は"ゆっくり"お茶しようね」







「ひぇ………」



バレてた。






私はあと何回、彼との恋愛フラグを折ることが出来るのか。

でも絶対に、この変な世界とダイゴさんに屈したりなんてしないんだから!!







*   *   *



・主人公
ミクリの紹介でダイゴに出会い、この世界がダイゴ落ちの二次創作の世界だと気付いた。
ダイゴが全く好みのタイプではないため、日々恋愛フラグを折るために奮闘している。
最近の悩みは、「どこにいてもダイゴとばったり会ってしまうこと」。
ばったり会いすぎて、どれが恋愛に発展するフラグなのかわからなくなってきてる。
でもきっと最後の意気込みもフラグになってる。


・ダイゴ
ミクリの紹介で主人公に出会い、一目惚れして猛アタックしてる人。
ミクリは良い友人でもあり、恋愛相談相手でもある。
何か困ったことがあればミクリへ即TEL。
主人公が嘘をついてダイゴの誘いを断ることがあることに気付いている。でも完全に拒絶されたことはないから、脈なしということは無いだろう。と思ってる。
早く主人公と付き合いたいし、結婚もしていいと思ってる。
この世界がダイゴ落ちの二次創作の世界であることには気付いていない。


・ミクリ
ダイゴと主人公を引き合わせた原因。
ダイゴ専用の恋愛サポーター。
どうせくっつくんだからはよくっつけと思っているが、絶対に口には出さずにダイゴにアドバイスしてる。
この世界がダイゴ落ちの二次創作の世界であることに気付いている…………?

 

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