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「……着いた」
無事にチャンピオンロードを抜け(ミクリさんのもとで修業してたから難しくはなかった)、高くそびえたつポケモンリーグを眺める。
これから四天王とチャンピオンに立て続けに挑まなければいけない。
…ダイゴさんのところまで、辿り着けるだろうか。
言いようのない不安が身体中を駆け巡り、俯いて胸に手をあて呼吸を整えていれば、視界にライチュウとキュウコンが入ってくる。
「きゅう」
「ライ」
大丈夫だと、俺たちに任せろと言いそうな自信満々の顔で頷いた2匹に、すっと身体が軽くなり、小さく笑みを浮かべる。
「そうだよね。ここまできたら、やるしかないもんね」
私の言葉に2匹とも笑い、とりあえずとリーグのロビーにあるポケモンセンターにみんなを預けた。
そしてみんなが回復すれば当初の予定通り、リーグを出てチルタリスの背に乗り、ミナモシティへと向かった。
「チルタリス!とりあえずミナモシティに行って技構成を練り直そう!ここに来るのはもう少しお預けだよ!!」
「チルッ」
チルタリスの背に乗り、大空へ飛び立つ。
後ろをちらりと振り返ってリーグを見ると、上のほうで誰かがこちらを見ている気がした。
何故だかその人物が、ダイゴさんに見えて嬉しくなった。
「……絶対にチャンピオンから引きずり降ろしてみせる」
待ってろよと小さく笑い、チルタリスにスピードを上げてもらう。
「チルタリス!全速力だよ!」
「チルッ!」
* * *
「………いいね」
リーグに設けられている執務室のスカイバルコニーから外を眺めていると、女性がチルタリスに乗って来たはずの道を戻りだした。
きっと、チャンピオンロードで技構成が崩れたから構成し直しに戻るのだろう。
あのチルタリスもよく鍛えられていそうだと、近々再びリーグに訪れるであろう女性とのバトルを楽しみにする。
今からどこに戻るんだろう?ミナモかな?と予想を立てていると、不意にその女性が、記憶の中の彼女と重なった。
「……エリシア」
なるほど彼女かと、もう見えなくなった女性と、鍛えられたチルタリスを思い出して納得する。
ミクリも、エリシアはバトルセンスがあると褒めていたから、きっとポケモンを育てるのも上手いんだろう。
それにしても、
「もうリーグまで来たのか」
僕が旅をしていた期間より随分短い期間で、よくここまで来たものだと感心する。
…いや、僕の場合は旅の途中で洞窟に籠って石を探していたからなんだろうけど。
「…楽しみだ」
はやく追いついておいで、エリシア。
そして戦おう。
この、ホウエン地方のチャンピオンと。
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