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「久しぶりだね、エリシア。綺麗になったね」
「お久しぶりです。ダイゴさんこそ、格好良くなりましたね」
ダイゴさんと再会し、記憶の中の彼と目の前の彼の差に内心驚く。
人は数年会わないだけで、ここまで成長するものだろうか。
私の場合は、遠い記憶のゲームの中の彼に近づいているという意味もあり、2重に驚く。
ダイゴさんとポケモンセンターを出て、今日はダイゴさんの家に泊まりたいことを申し出れば、少し難しい顔をされたが最終的には少し困ったように眉を下げた表情で了承してもらえた。
「………エリシアだけ、特別だよ」
「!ありがとうございます!」
おぉぉ良かったあー…。
恥ずかしい思いをしながらジョーイさんのところに行かなきゃいけないところだった…。
ダイゴさんのお家にお泊りも決まったことで、家に帰る前にスーパーに寄って買い物も済ませる。
今はその帰り道。
「旅はどうだい?」
「楽しいです。知らないことばかりで、自分の世界が広がりました」
道中、ムロタウンへ行くためにおじいさんに船に乗せてもらったこと、カイナシティでカタリナ、ヒナタ、スミレと出会ったこと、4人で朝から夕方までポロックを作ったこと、コンテストに参加したこと、サファリパークに行ったことなど、旅で経験したことを話した。
ダイゴさんは、終始楽しそうに頷きながら聞いてくれていた。
「そっか。いい経験をたくさんしたんだね」
「はい。…あ!ダイゴさんが以前話してくれていた石も、旅をしながら探してたんですよ!」
ムロタウンの石の洞窟へは行っていないから、珍しい石は見つけていないんですけど…。と伝えて彼の顔を見れば、驚いたように、でも次には嬉しそうに笑った。
「エリシアは、以前僕が話していた話を覚えてくれていて、旅をしながら探してくれていたんだね。僕はそのことが、何よりも嬉しいよ」
そう言って、本当に嬉しそうに微笑むから、私もつられて笑顔になる。
2人で笑いあっていると、突然ボールからピカチュウが飛び出して、私の肩に乗った。
思わずジト目でピカチュウを見れば、ダイゴさんは笑ってピカチュウの頭を撫でた。
「ピカチュウかい?さっきの話に出てきたサファリパークで捕まえたんだね」
「そうです。ボールの中にいるのが嫌みたいで、よく外に出ちゃうんですよ」
「いいと思うよ。ポケモンにも好き嫌いはあるからね」
話していればダイゴさんの家に着き、中へ通される。
「どうぞ。何もないけど気にしないで」
「お邪魔します」
家の中は広いが、あまり物は置かれておらず、なんだか物寂しい感じがした。
「僕は夕飯を作るから、適当に寛いでてね」
「ありがとうございます」
そう言うとダイゴさんはキッチンに消えたため、部屋の中を見回す。
すると壁際に小さめのショーケースが数個並んでいたため近づけば、思わず小さく笑ってしまった。
「…これ、ダイゴさんが話してくれてた珍しい色の石、だよね?」
それからこっちは…、と私の実家で話してくれていた内容を思い出しながらショーケースの中の石を眺める。
そう。ショーケースの中身は、すべて珍しい石だったのだ。
なんとも彼らしい、と笑ってしまったのは許してほしい。
ピカチュウが不思議そうな目で私を見てきたため、頭を撫でる。
「ぴか?」
「なんでもないよ。好きだなぁ…って思っただけ」
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