14
14/62

翌日

「じゃあエリシア、引き続き頑張ってね」

「テレビでエリシアのこと、ちょこちょこ放送されてるから録画してるよー」

「が、頑張ってね!エリシア!!」

「ありがとう、3人とも。頑張るね」

キンセツシティからフエンタウンへ続く出入り口まで見送ってくれた3人にお礼を言って、私は改めてジム挑戦のために旅を続ける。

というかさっきスルーしたけど、テレビで私が放送されてるって何。
カメラとかそれらしいの見たことないんだけどなあ。

てくてくと歩いているとしょんぼりした男性に出会い、話を聞けばすぐそこのカチヌキ一家に負けて反省会をしていたのだという。

「カチヌキ一家?」

なんだそれと首を傾げれば男性が説明してくれた。

「一家4人と勝ち抜き戦でポケモンバトルをするんだよ。僕は娘さんと戦って負けたんだ」

肩を落としている男性を励まし、面白そうだと教えてもらった家に近づけば、待ち構えるように男性が1人家の前に立っていた。

話しかければ挑戦者かと尋ねられ、頷けばバトルが開始される。

「スバメ、つばさでうつ!」

「キュウコン、ほのおのうず」

キュウコンのみでポケモンを倒していき、最後となるおばあさんも倒せば、家に入っておいでと言葉を残し、自分も家に入っていった。

「…お、お邪魔します」

え、ほんとに入っていいの?



家の中に入れば戦ってきたお父さん、お母さん、娘さん、おばあさんにそれぞれ言葉をかけてもらい、おばあさんにきょうせいギプスをもらった。

「それはポケモンに持たせると、すばやさは遅くなるが強く育ちやすい。私たちに勝ったお前さんならばいらないだろうが、使ってみなさい」

「ありがとうございます。いただきます」

その後も何故か家族に気に入られた私はお茶をご馳走になり、やっとのこと家を出て旅を続ける。

歩きながらギプスが入っている鞄をちらりと見てため息をつく。

きょうせいギプスは、ただポケモンに持たせただけではなんの意味もない。努力値が2倍になるとかで、持たせたポケモンが強くなるかはトレーナーの知識と計算にかかっている。

ただ私は、努力値なんかの知識はないので、

「……ダイゴさんに次に会った時あげよう」

私よりもずっとこれを使いこなせる彼に渡そう。

* * *

ロープウェイに乗って目的のフエンタウンにたどり着けば、どうやらここは温泉地のようで、ポケモンセンターの左に温泉が見えた。

とりあえずとジョーイさんにポケモンを預け、そのまま部屋を予約すれば、彼女から温泉を勧められた。

「このポケモンセンターでは、共有ではあるけど人用とポケモン用でそれぞれ温泉があるの。ぜひ入っていって」

「わぁ…!ぜひ!!」

テンテンテレレン、という聴き慣れた音と共にポケモン達の回復が終了してモンスターボールを受け取る。

早速と左手に進めば、ここはポケモン用温泉らしく、水色とピンク色の暖簾が左右にかけられていた。

「うーん…。目を離すわけにもいかないからなあ」

最初に男の子の方の温泉に入らせて、その後に女の子の方に入らせようかな。

そうと決まれば左の水色の暖簾をくぐり、温泉の手前でポケモンを出す。

「出ておいで、キュウコン、メタング」

メタングは性別不明だけど、キュウコンが1匹だと可哀想だし、一緒に入ってあげて。

ボールから出た2匹は目の前の温泉に喜び、のんびりと温泉に浸かった。
ただ、2匹とも長湯はしないのか、10分ほどで中から出てきた。

「気持ち良かった?」

それぞれの体をタオルで拭きながら尋ねれば、満足そうに頷く2匹。
それに笑ってある程度乾けばボールに戻し、今度は女の子の方のお湯に行ってミロカロスとキルリアを入らせた。

2匹は男の子達と違い、お互いきゃっきゃと何か楽しそうに話し始め、30分ほど入っていた。

2匹がお湯から出ればキルリアにはタオルを渡し、私はミロカロスの体を拭いていく。

「気持ち良かった?」

キュウコンたちにも聞いた質問をすれば、ミロカロスもキルリアも嬉しそうに、楽しそうに、満足そうに何度も頷いた。

それを見て温泉に入らせて良かったと笑い、今日は疲れたからと先程予約した部屋に行ってみんなをボールから出した後、人用の温泉に入った。

共用とは言っていたけれど、タイミングが良いのか私以外の人はおらず、結局貸し切り状態で温泉に浸かった。

「明日はジムに挑戦して、勝てばそのままトウカシティに向かおう」

道ゆく人に聞いたが、ここは炎タイプのジムらしいので、ミロカロスの出番だ。彼女には申し訳ないが、水タイプは彼女しかいないためきついかもしれないが頑張ってもらおう。

 

  back
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -