12
12/62

「はっはっは!タイプ相性無視で押したのう!」

「ははは……」

あの後ポケモンジムへ挑戦し、ジムリーダーは予想していたテッセンさんで安心したのも束の間、なかなかキュウコンとメタング、キルリアの3匹で攻略するのは骨が折れた。

できればもう戦いたくない相手だ。

回復薬を駆使し、なんとかテッセンさんに勝利しジムバッジを受け取った際に、何故か顔をじっと見られた。

そして爆弾発言を落とされる。

「なるほど!キミが新しいチャンピオン、ダイゴくんの婚約者か!」

「!?」

はっはっは!と快活に笑っているテッセンさんに、これ以上ないほど動揺しながら経緯を聞く。

「なんじゃ、知らんのか。つい先日、定期的に行なっているホウエン地方のリーグ会議の場で、"自分の婚約者がいまホウエン地方を回っているから、相手をするときはよろしく"と言っておってなあ。チャンピオンの言葉は絶対じゃから、楽しみにしておったよ」

「なんてこと……っ」

彼の言葉を聞きながら膝から崩れおちて悲しんでいれば、テッセンさんに頭を撫でられた。

「まあそれぐらい、お前さんを全体に認知させておきたかったんじゃよ。自分の婚約者としてな」

仲良くしてやれ。と言われ、渋々だが頷く。

…でも次会ったら文句ぐらい言わせてほしい。

* * *

「道中気をつけてな」

「ありがとうございました」

ジムの入口まで見送ってくれたテッセンさんに一礼し、次の街を目指す。

次の街は…、シダケタウンかあ。

マップで確認しながら道を進んでいるが、どうやら次の街はポケモンジムというより、ポケモンコンテストの方らしい。

「シダケタウンまでにヒンバスが進化していれば、出場するの考えようかなぁ」

「…!!」

この時、ヒンバスが入ったモンスターボールが小さく揺れた気がしたが、大して気にすることもなく歩き続ける。

その後の休憩で、やたらとヒンバスが青ポロックを食べていたのは気のせいだろうか。
でもその成果があらわれたのか、シダケタウンに着く直前の休憩で、ヒンバスは無事にミロカロスへと進化した。

たまにバトルにも出していたからレベルも十分に上がっているし、これからは問題なくバトルの先頭に出しても問題は無いだろう。

…それにしても、

「綺麗……」

ヒンバスから進化したミロカロスは随分と大きくなり、首が痛いほど見上げなくてはならない程だった。
そんな彼女は水の中を優雅に泳ぎ、時には楽しそうに歌を歌う。

ロコンとメタング、それからキルリアも、楽しそうなミロカロスを見て微笑ましそうに眺めているのを見て、私も同じようにミロカロスを眺める。

そのまま時間が過ぎ、日も傾き始めたことからミロカロスを呼び、みんなをボールに戻してシダケタウンのポケモンセンターで一泊することにした。

部屋でミロカロスを除いたみんなをボールから出し(ミロカロスだけは大きすぎるのでボールの中)、施設内で貰ったポケモンコンテストのチラシを眺める。

コンテストパスがあるから参加はできるけど、どうするかな…。

チラシを眺めて悩んでいれば、ミロカロスが入ったボールが小さく、何度も揺れる。
それを見て、シダケタウンに来るまでに大量の青ポロックを必死に食べていたヒンバスを思い出し、彼女の求めていることがわかった。

「…もしかして、コンテストに出たいの?」

問い掛ければ、そうだと言わんばかりに大きく揺れたモンスターボールを見て、それじゃあと頷いた。

「旅に出てからポケモンバトルばっかりだったもんね。コンテスト、挑戦してみよっか」

私の言葉にキュウコンとメタング、キルリアも喜び、そうと決まればコンテストについて調べ始める。

「…あ、カトレアに聞けばいいのか」

調べ始めて数分後に、良い先輩がいたじゃないかとポケナビを取り出してカトレアに電話し、コンテストについて詳しく教えてもらう。

「…あ、もしもし、カトレア?実は……」







* * *


「…ふむ」

カトレアが丁寧に教えてくれたおかげでコンテストについてなんとなくわかった。
「おひろめ」のターンや「アピール審査」があること、ポロックを食べる量の上限はないこと、ポロックによってポケモンのコンディションを上げること。
あとは参加する部門ごとに技構成を練って、アピール審査の際にその部門に合った技を使うこと。

出場するポケモンがミロカロスだということもカトレアはお見通しで、おすすめの技構成も教えてくれた。

「リフレッシュとあまごいとハイドロポンプかー…」

鞄の中を漁って道中拾ったり買ったりした技マシンをベッドに広げ、目的の技マシンを拾っていく。
技マシン3つともあって良かったー。

カトレアから、その3つの技を組むのであれば、残り1枠はどんな技でもいいと言われているから、広げている技マシンの中から、私が好きなものを拾い上げる。

「"輪唱"、きっとミロカロスだから綺麗なんだろうなあ」

拾い上げた4つの技マシンを持ってポケモンセンターを出て、近場の少し大きめの池にミロカロスを出し、技を覚えさせていく。

その後にコンテストに出れるように技の出し方や魅せ方を調整し、部屋に戻って明日のコンテストに備えるため寝る。

「…明日コンテストに参加して楽しかったら、ほんとにジムの息抜きにコンテストやろうかな」

やるなら、登れるところまで登り詰めてやろう。
そう思わせてくれたミロカロスに感謝しなきゃ。
彼女は、私の変わらない目標である、"ダイゴさんを倒す"こと以外に、目標を持たせてくれたから。

 

  back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -