05


 DIOの隣に一人残された夢主はメローネが広げたストリップショーのガイドブックを閉じ、その横にあった各ホテルのレストランが紹介された雑誌を手に取った。ページをめくる度に見たこともない様々な料理が美しい写真付きで紹介されてある。明日はどこで何を食べようか悩んでしまうほどだ。
「ねぇ、DIO」
 相手の意見も聞いてみたいと隣を向けばDIOの吐息が頬を撫でた。いつの間にか肩に腕が回され、息が掛かるほどの至近距離から見つめられているではないか。
「どうした?」
 驚いて息を呑んだ夢主にDIOは静かに問いかけてくる。
「えっと……明日はどこでご飯食べようかと思って」
「ほう?」
 DIOは雑誌を奪い取り無造作にテーブルの上へ放った。それがバサリと音を立てて落ちるより早く、柔らかな唇を押しつけられてしまった。
 角度を変えて二度、三度、と啄まれてしまう。驚いていた夢主もDIOの情熱が込められた赤い目で見つめ返されて次第に状況が掴めてきた。仲間や執事たちが早々に退室していったのは久々に会う恋人同士を思っての事らしい。ようやくそれに思い至ったが、いらぬ気遣いをした彼らを恨めしくも思う。
「ン、……DIO……」
 胸を押し返そうとするとますます強く抱き込まれてしまった。触れ合うだけのキスはいつしか深みを増していき、言葉を発した瞬間、DIOの舌先が潜り込んでくる。
「……っ」
 濡れた音がひどく生々しい。歯を舐め、舌を絡め、深々と内部を探ってくるDIOの淫らな舌に夢主の腰は早くも砕けてしまいそうだ。
(キスってこんなに気持ちよかった?)
 まるで電流が走り抜けた後のように背筋がゾクゾクした。あまりの刺激に体中がとろけてしまいそうだ。舌を優しく噛まれ、ちゅるりと唾液をすすり飲まれてから唇はようやく解放された。思わず、はぁ、と艶めいた声が漏れてしまう。潤んだ目にDIOの顔を映せば、相手は濡れた唇の端を上げて妖しく微笑んでいた。
「この場で犯されるか、寝室で抱かれるか、どちらを望む?」
 頬を優しく撫でながら聞く前から答えの分かっている質問をDIOはあえて投げかけてくる。
「……ここじゃ嫌」
 人目につくような場所で体を晒されることだけは勘弁して欲しい。真っ赤になった顔を隠すように相手の広い胸に押しつけた。
「分かった」
 嬉々とした声でDIOは夢主を抱え上げ、酒瓶とグラスが入り乱れるリビングのソファーから立ち上がった。メローネが羨ましがった寝室へ足を向け、大きな扉を開けて中に入る。目に飛び込んできたのは二人で寝ても余りある大きなサイズのベッドと、その窓の向こうに見えるきらびやかな夜景だ。
 ガチャンと扉が閉まる音と、夢主がベッドの上に置かれるのは同時だった。薄暗い部屋の中、不夜城の明かりを浴びたDIOはあまりに妖艶でこちらの視線と心を瞬時に絡め取ってしまう。その怖いくらいの美しさに身震いした。
「夢主」
 なだめるように名を呼んでDIOは彼女の肌に手を伸ばした。スカートから伸びた脚をするりと撫でて、覆い被さるように体を近づけていく。太腿の内側に唇を這わせると、それを遮るように夢主の手がスカートを押さえつけた。
「ちょっと、待って……」
 頑なに布をぎゅっと握りしめる彼女をDIOは不服そうに眼を細めて睨む。
「焦らせてこのDIOを煽っているのか? あまり言うことを聞かないようであれば、手酷く抱くぞ」
 戯れに尖らせた爪でビリリと衣服を裂いてやれば、頬の赤みが無くなり怯えたように体を丸めてしまう。
 彼女はいつまで経っても初々しい。いつも子うさぎを相手にしているようだとDIOは苦く笑った。
「そんなつもりじゃ……ごめん、DIO」
 拒んでいるつもりはない。ただ急なことで気持ちが追いつかないだけだ。相手を怒らせてしまったのだろうか……痛いことだけは勘弁して欲しいと心底困った顔でDIOを伺うと、彼は笑みを浮かべて見下ろしてくる。
「フフ、冗談だ。だからそう怯えるな。いつも優しく抱いているだろう?」
 DIOにとってそれは奇跡に近い。相手を思いやりながら抱くのは夢主が初めてで、おそらく最後だろう。餌として召し上げた女を気ままに抱くのとは明らかに違う。こうして睦言を囁くことも、牙を立てずに口付けることも彼女にしかした事がない。
 いつもの優しく抱かれる情事を思い出して再び頬を染める相手に満足したのか、DIOは形のいい唇を緩める。
「夢主、私を見ていろ」
 そう言うや正面から夢主の目を射貫いた。絡まり合う視線を離さずにDIOは自身の上着に手を掛ける。ゆっくりと時間をかけて腕を抜き、緩慢な動作で妖しくも美しい体のラインに沿って上着を滑り落とした。
 次に黒のアンダーシャツを下からゆるりと持ち上げた。彼の引き締まった腹筋とヘソがちらりと見える。そのうちいつも頬を寄せている逞しい胸板が露わになった。DIOはまるで己の体を見せつけるかのようにその艶めいた肌の全てをさらけ出していった。
(もしかして……)
 夢主にもようやくDIOがストリップショーの真似事をしていることに気が付いた。まるで目から犯されていくようだ。身を覆うすべての布を脱ぎ終えるとDIOの髪がさらりと揺れる。その動きすら妙な色気を含んでいて、肝心な部分に触れられてもいないのに体の芯は熱を持って疼き始めてしまった。
「DIO、」
 息を飲み込みながらそう言うのがやっとだ。
「私を欲しがれ。周りが見えなくなるくらい強欲に」
 狂おしいこの気持ちの行き着く先はたった一人の相手に注がれているというのに、その愛の深さを知らないでいる本人を恨めしく思う。DIOは夢主のすべてが欲しい。相手にも同じように欲してもらいたい。ただひたすらに求められて愛されたいと願っている。
「お前にだけそれを許してやろう」
 DIOは甘く囁いて、半ば呆けている相手の体に覆い被さり、暗闇の中で深く口づけた。


 唇の端から流れ落ちた唾液を追ってDIOは丸い顎から白い首筋にかけて舌を這わせた。
 肌の下に感じる動脈を舐めて、牙ではなく柔らかな唇で愛撫する。耳元を指でくすぐった後、大きな手のひらで頬から首、肩にかけてゆっくりと撫でた。
 切り裂いた服の残骸をベッドから退け、肩を撫でていたDIOの指は可憐なブラのストラップ下に潜り込んで左右にそっと落としていく。ふんわりとした胸の谷間に唇を寄せていくつもキスの痕を残していった。
「あ……」
 吸い付かれて少し痛い。けれどこんな痛みなら喜んで身に受けるだろう。そろそろと腕を回して、熱心に口づけを繰り返すDIOの頭に指を伸ばした。指通りのいい金色の髪が心地良く、求められる喜びに思わずうっとりとなってしまう。
「いい顔をするようになったな」
 DIOは夢主の胸から顔を離すとそう言ってニタリと笑った。もはや邪魔でしかないブラを外し、その体から剥ぎ取れば自分が残した赤い痕が肌を彩っていた。こぼれた膨らみに口を寄せて色づき始めていた先端に舌を伸ばす。
「……ン、」
 吸いついて、噛んで、飴を転がすように舐めれば次第に固くなっていく頂きを愛しく思う。恥ずかしそうに横を向く夢主の姿に煽られてDIOは左右のなだらかな山を丹念に往復した。その間も女の柔らかい肌を楽しむために至る所に手を這わせる。腹から震える腰、丸い臀部とぎゅっと閉じられた太腿、その間を優しく撫で、ふくらはぎからつま先まで大きな手で存在を確認するように撫で回した。
「あ……DIO……」
 最後になだらかな恥丘を手で包み込めば体中を桃色に染めた夢主が確かな嬌声をこぼす。名を呼ぶその声の甘さにDIOの背中がぞくぞくと波打った。
 言葉で散々に辱めて体中を犯し尽くしたい。絡めとるような性技と体位で本人ですら知らないあらゆる性感を刺激して、果てしない官能をその身に叩き込んでやりたい。
 凶暴なまでの男の欲求が胸の中で渦巻いていく。だが性欲で夢主を堕としたいのではない。愛でもってすべてを奪いたいのだ。しかしそれの何と難しい事か。DIOはすでに硬く勃ち上がった正直な己に苦笑した。
「夢主、足を開け」
 閉じられた太腿を揉み、その奥にある秘められた場所を指先でなぞった。しかし相手はますます強く足を閉じ、頬を染めて困り顔で見上げてくる。それがどれほどDIOの加虐心を煽るか本人は分かっていないのだろう。
「まだ恥ずかしがるのか? いつも最後には大きく開いて私の腰を抱え込んでくるではないか」
「な……、そんなこと……!」
 夢主は慌てた様子で首を振る。その気が緩んだ一瞬にDIOは指を恥丘の奥へと滑り込ませた。
「ここも私を咥え込んで離さないし、部屋の外にまでいやらしい音を響かせているだろう?」
「う、うそ……」
 その言葉に大きく目を開かせて驚く相手にDIOはにやにやと笑いかけた。からかわれているのか、それとも本当なのか、そんな風に戸惑う顔を見下ろしてDIOは唇にちゅっとキスを落とした。
「どれほど私を待たせたら気が済むのだ。さぁ、いい子だから言うことを聞け」
 幼児に優しく言い聞かせるような声色が夢主の耳を打った。まるで自分が駄々をこねているような気持ちにさせられてしまう。
「DIO……」
 名を呼ぶ頼りない声がさらにDIOを愉快にさせる。相手の太腿をいやらしく撫で、身を覆う最後の一枚を遠慮無く剥ぎ取ってやった。身を固くする相手の耳元に唇を寄せてDIOは熱い吐息を注ぎ込む。
「私を受け入れるのがそれほど嫌か?」
 夢主は今にも泣きそうな表情でDIOを見上げた。そう思われるのだけは嫌だ。単に恥ずかしくて出来ない、それだけだというのに。
 こうなってはもう諦めるしかないのだと自分に言い聞かせ、夢主はそろそろと足を動かした。膝をすり合わせ、つま先を少しだけ宙に浮かせてみせる。
「フム……両手で抱え上げろ」
 半ばヤケになって夢主は太腿の裏に手を伸ばした。DIOは目の前で揺れる足首から、未だにぴったりと合わさった膝までをつぅっとなぞった。
「何度も言わせるな。足を開け」
 熱くなる顔を白い枕に押しつけ、左右にゆっくりと開いていく。痛いほどの視線がそこに注がれるのを感じて気絶してしまいたくなる。
 DIOは開かれた太腿の間を撫で、奥にある茂みに指を伸ばした。ビクリと震える足にキスを落とし、体の中心に顔を近づける。フッと息を吹きかけてやれば短い悲鳴が夢主の喉の奥で上がった。
「嫌っ……、恥ずかしくて死にそう!」
 羞恥に身悶える言葉にDIOは笑った。これから身を任せる相手を一体誰だと思っているのだろう。
「たとえ死んでも私が生き返らせてやる」
 笑いを刻んだままDIOは舌先を柔らかな秘部に埋めた。全身を撫でられ、自ら受け入れることを強要された事に感じたのか、すでにそこは潤んでいる。滲み出たわずかなとろみを絡め取って蜜口の浅いところをくるりと舐めた。
「……ッ」
 足を抱える夢主の手にぎゅっと力が入る。DIOの髪が足に触れてくすぐったく思っても、それを遙かに上回る快感が下腹部から背筋を走り抜け、甘い痺れとなって全身を覆い尽くした。
 DIOは閉じていた花唇を舌で割り開き、形を探るようにゆっくりと舌を動かす。暖かな体内へ差し入れて襞を優しく愛撫した。その度にぴくりと震える体をDIOは大きな手で撫で回し、時につんと立った乳首を指先で弾く。
「はぁ……」
 鼻に抜ける甘い声を耳に残してDIOはほころんできた花唇の上にある突起に舌を伸ばした。覆い隠す包皮を舌で剥いて、唇を押しつけると小刻みに震わせた。それから根本を舌先でつつき、舐め上げては円を描くように周囲をくるりと刺激する。
「あぁ、だめっ……」
 耐え難い快感がそこからさざ波のように生まれ夢主の体を苛んでいく。体をよじって淫らな口づけから逃げようとする腰を抱いてDIOはしつこい程にそこを舐めしゃぶった。歯で優しく噛んではしごき、嬲るように舌の腹で舐め上げる。唇で吸い上げてはキスを落とし、花唇から蜜を運んできては突起にそのぬめりをこすりつけた。
「ひ……、やぁ……んっ、ああっ……!」
 夢主の体に堪らない愉悦が溢れ、DIOが音を立ててそこを愛撫する度に意識が白く濁っていく。体中を駆け巡る甘い刺激に焼かれて止めどない嬌声を紡いだ。抱えた足ががくがくと跳ね上がってDIOの背中を弾き、過ぎた快感を逃そうとしてもDIOが際限なく体を貪るので気持ちよさは止むことがなかった。
「もうだめ……もう、……」
 DIOの舌が埋め込まれた奥深いところが狭まって稲妻のような痺れが背中を駆け上がっていった。目の前がちかちかと点滅し、感じすぎて涙が流れ落ちた。そうして夢主が官能の園へ達する瞬間、それまでしつこいほどに愛撫を繰り返していたDIOがふっと顔を離した。
「……え?」
 離れていく体にしばし呆然とする。あとほんの少しで悦楽の海に飛び込んで行けたのに……中途半端に放り出された体は物欲しそうに、切なそうに秘部からとろりとした蜜をこぼした。
 力強く足を抱え込む手にキスを落としDIOはそこから腹と胸の谷間にも唇を寄せた。それから呆けている夢主の唇を啄むと人の悪い笑顔を浮かべる。
「DIO?」
 不安そうに名を呼ぶ夢主の背中に手を回しつつ、彼女の隣へごろりと仰向けになって転がった。力任せに引き寄せられて悲鳴をあげる間もなかった。
「!」
 一瞬で上下が反転し、清潔な香りがする寝具を背中に感じていた夢主は、今やDIOの固い胸にうつ伏せになっている。髪と頬を撫でてくるDIOをそろそろと見上げれば、
「自分で挿れてみせろ」
 と言われてしまう。
「え?」
「私を求めて欲しがる、淫らなお前が見たい」
 夢主の頬がかっと熱くなる。自ら足を開くのだってかなりの勇気が必要だったのに……。
「む、無理……ッ」
 首を横に振る相手にDIOは右手で丸い尻を揉んだ。同時に背筋を撫で下ろし、無防備なわき腹を撫でさする。
「あっ……」
 それだけで先ほどDIOに愛されていた部分が淫らにひくついてしまう。身悶える体を相手に押しつけながら、それでも弱々しく首を振った。
「嫌か? これ程だというのに私が欲しくはないのか?」
 DIOは肩を押して自分の腹の上に跨がせると、濡れた音を響かせる花唇に指を伸ばした。そこは熱くとろけていて男を誘う甘い香りを放っている。とろとろの愛液をかき混ぜるようにしてやれば、ぐちゅりとひどく粘ついた音が寝室に響いた。
「夢主」
 名を呼ぶ声は甘く優しく、しかし命令のように決して逃れられない強さを含んでいる。
「だけど……あ、」
 向けられる視線の強さに怖じけて腰を引けば、さっきDIOに撫でられた尻に物騒なものが押しつけられた。それが何かふり返って見なくても分かってしまう。言葉を失った夢主を誘うように、硬く屹立したものは女の足の間でその存在を主張した。
「分かるだろう? 私はすぐにでもお前が欲しい」
 DIOは夢主の秘部へ指を差し入れ、熟れて赤く色づいた芽をぐりぐりと弄んだ。指先で優しくつまみ上げ、表面を擦っては奥から溢れてくる愛液を撫でつける。
「ンっ……はぁん……ッ」
 甘い声を上げて夢主は切なく啼いた。本当は自分でも分かっている。途中で放り出された体はDIOを深く迎え入れなければ達することは出来ないだろう。舌や指ではもはや満足できない。DIOが欲しいと思うのに、まだかすかに残っている理性がそれを押し止めてくる。
「どうしても?」
 懇願するようにDIOの顔を伺っても相手は口の端で笑うだけだ。
「このままで終わりたいのなら、それはそれで構わぬが」
 桃色に色づいた夢主の胸を揉みしだき濡れた芽を強く刺激する。その瞬間、走り抜けていった強烈な快感にDIOの体の上であぁ、と喘いだ。
「嫌……、私だってDIOが欲しいよ」
 うごめく肉壁が相手と一つになりたいと切に願っている。恥ずかしさとためらいはあるが、それでもDIOのすべてを受け止めて満たされる瞬間を味わいたかった。
「ならばお前がすることはただ一つ。私を悦ばせてみせろ」
 欲情でとろけた目をDIOは真っ直ぐに射貫いた。
 夢主の少し乾いた唇から吐息が漏れ、ごくりと喉を鳴らす音が響く。DIOがその姿を見上げ続ける前でゆっくりと逞しい胸に両手をついた。
 静かに腰を上げれば、肌を触れ合わせていたところからくちゅと濡れた音がする。夢主はその音を聞き流し、背後に待ちかまえる熱へ自らの意志で下腹部を近づけていった。灼熱のかたまりが女の秘所に触れた瞬間、体中が沸騰するかと思うほどの興奮と同じくらいの羞恥が体を包み込んだ。
「ん、……!」
 固く目を閉じた夢主は震える手で体を支えつつ蜜をこぼす隘路へと誘った。膨れ上がった先端をほころんだ花びらにあてがい、腰を揺らめかせながら落としていく。そのまま入ってくると思えば、あふれた愛液のせいなのかぬるりと滑ってむき出しの突起の上を淫茎が擦り上げていった。
「ひっ……」
 体の中を駆け巡る快感を押し止めるために、DIOの腹の上に置いた手をきつく握りしめてどうにかやり過ごす。もう一度、と腰を浮かせてみても、したたる蜜が邪魔をしてなかなか上手く中へ誘い込むことが出来なかった。
「ぁ……、やだ……んんっ……!」
 熱いたぎりが花唇を刺激し、敏感になっている芽をからかうように愛撫する。その度に愛液が奥からどっとあふれてきてDIOの言ういやらしい音が部屋中に響き渡った。
「あぁっ……DIO、もう……嫌ぁ……」
 外の明かりにうっすらと照らされた夢主は妖しく色づいた体を揺らしながら、涙を溜めて救いを求める目で見下ろしてくる。DIOはそれを余すところ無く見つめ返した。羞恥と快楽の狭間にいる彼女はこのまま抱き殺してやりたいほどに可愛くてあまりに愛しい。
「お前は焦らすのが上手いな」
 女の蜜をこすりつけられたDIOの淫茎は、暗い部屋でも分かるほどにてらてらと濡れ光っている。さっきから耳を突いてくるぐちゅぐちゅという水音と、男を煽り立てる淫らな声が堪らなくいい。
 DIOはどろどろに溶かされた己を指で支え、空いた手で夢主の太腿を撫でた。
「これなら入るだろう。さぁ、腰を落とせ」
 夢主の体が震え、その振動で目尻から涙が流れてDIOの腹の上にぽたりと落ちた。
 赤い目で見つめられる中、夢主は乱れた息を吐きながら再び腰を上げた。支えられていてはもはや滑ることはないだろう。ひどく濡れた花唇にDIOの先端が触れそのまま深く口づけてくる。
「あ、あ……あぁ、」
 熱い楔が蜜口に呑み込まれ、腰を落とすのと同じ速度で内部を割り開いていく。足を震わせながらDIOをゆっくりと受け入れていった。
「夢主……」
 どこまで焦らすつもりだとDIOは眉を寄せて名を呼んだ。あたたかく、狭い蜜路は男を迎え入れる喜びに満ちて波打っている。堪らず腰を穿てば夢主は悲鳴をあげて瞬時に果てた。
「ひっ……ああぁっ……」
 強く収縮する膣襞にDIOは苦笑を浮かべて夢主を見上げる。確かな快感を得て達したらしいが、こちらはまだまだ物足りなかった。熱くうねるこのすべてを味わいたい。DIOは細い腰に手を伸ばし、ぐいっと前後に揺さぶった。
「え、……いや、待って……!」
 達した余韻が冷めないうちに早くも中を擦られてしまった。少しだけ待って欲しくてDIOの腕に縋りついても、相手の強靱な力を止められはしなかった。
「あぁ……うそ……ああ……っ」
 揺さぶられるところから快感が渦巻いて再び高みへと押し上げてしまう。体の中心を穿つ楔が蜜路のあちこちを強く刺激して堪らない心地にさせていく。押し寄せる官能に絡め取られ、為す術もなく与えられる律動に身を任すしかなかった。
「ん、ん……はぁ……」
 耳を塞ぎたくなるほど卑猥な水音が寝室に響き渡り、これでは帰ってきたテレンスやリゾットにも知られるのではないかと夢主は不安に思ってしまう。なのにどうしても気持ちよさには抗えず、DIOが下から突いてくるとすぐに何もかも忘れて、かすれた声を上げてしまうのだった。
「もう……もう、だめ……お願い、動かさないでっ」
「ならば自分で動くか?」
「そんな、意地悪言わないで……」
 ぼろぼろと涙を流す相手にDIOは仕方なく身を起こした。愛らしくも乱れた姿を見られたのだから今回はこれくらいで満足すべきだろう。薄く笑ったDIOは体をぴたりとくっつけてくる相手の背中を撫でて、唇に優しいキスを残した。
「DIO……」
 相手の肌の温もりと柔らかな口づけを受けて夢主はほっと息を吐いた。と思えばすぐさま体はシーツに押しつけられて、欲望の灯った目に見下ろされる形になった。
「あ……、っ……!!」
 挿れたままだった陰茎が引き抜かれ、すぐに一息で奥へ穿たれる。その激しい快感に体中が痺れて目の前にいくつもの星が飛んだ。
「夢主」
 熱っぽい声で呼ばれて耳の奥がぞわぞわと波打った。脳髄が焼かれて声だけで達してしまいそうになる。相手の背中に必死で手を回してきつく抱きしめると、DIOの美しい眉が苦しげに顰められてしまった。
 思わず間違ったことをしたのかと手を離せば、DIOはそれを許さずむしろ離れた事を咎めるように肉襞を打った。
「あぁ……ッ!」
 甘い声を上げる夢主を抱きしめたまま腰を大きく進めてはゆっくりと戻し、再び奥へと突き入れた。触れていないところがないようにあらゆる角度で責め立てれば、夢主はまた腕を伸ばして縋りついてきた。
「それでいい。最後まで私に抱きついていろ」
 首筋を噛みながら耳元で囁く。体を震わせる相手に満足して体の奥深いところを突き上げた。
「DIO……、もう……っ」
 体を駆け抜けた甘い痺れにすべてを預けていく。収縮する蜜口にきつく締めつけられ、そのあまりの甘美さにDIOも堪らず精を放った。淫らな膣襞がそれを呑み込んでいく感覚をDIOはしみじみと味わう。
 回されていた腕から次第に力が抜けるのを感じたDIOは、頑張った褒美としてこめかみにキスを落とす。それから額と頬にも唇を寄せ、最後に深い口づけを与えて微笑みかける。
 気恥ずかしいのか、夢主はすぐさまDIOの胸に顔を押しつけてきた。その頭を撫で、体を抱き寄せたままDIOは背後に待つ枕とシーツの上に倒れ込んだ。薄い掛け布団を広げて情事の痕が色濃く残る二人の体を覆い隠す。
「この二週間、思う存分に楽しめそうだな」
 乱れた呼吸は整わず、ドクドクと早い鼓動を打つ女の体を撫でてDIOは楽しそうに呟く。夢主は相手の胸に頬を寄せて、はぁ……と熱い溜息をこぼした。




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