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呪術廻戦0 2


私達の実習先は東京都内にある曰く付きの廃病院。此処にいる呪いを祓うように指示された。真希ちゃんと五条先生と転入生の姿はない。真希ちゃん達は小学校で呪いを祓っている。先生の代わりに引率した伊地知さんが教えてくれた。


「先生も意地悪だよねー」

誰も居ない、間違えた呪いが蔓延る古びた病院内を歩きながら呪いを祓っていく。そんな私は先程から思っていた事をパンダ君達に話す。

「意地悪って何がだ?」
「明太子」
「二人とも分かってる癖にー」

とぼける彼等に思わずジト目になってしまう。

「チーム組むなら私達三人じゃなくて、真希ちゃんの方に一人行った方が絶対良かったじゃん」

真希ちゃんと転入生の相性は最悪だ。先程の自己紹介で感じたが転入生は真希ちゃんの嫌いなタイプだ。先生だって感じた筈なのにそんな二人を組ませるなんて人が悪い。まあ先生が人が悪いのは知ってるけど。
それに相性だけではない技術面だって心配だ。真希ちゃんだけなら大丈夫とは思うけどやはり問題は転入生。呪術高専の存在どころか呪いの存在すらちゃんと理解していなかったど素人。恐らく術式も無いは筈。そんな一般人に近い転入生とのチームなんて真希ちゃんの負担が大きい。バランス的に考えて私達のだれかが真希ちゃんチームに行くべきだ。現場に向かう前に先生にそう主張しのたが先生の回答は

「まっ!何とかなるでしょ!」

親指を立てながら凄い笑顔で言われた。人が心配してるのを他所に能天気な笑顔と考えに思い出すだけでもイラっとする。私の心情を察したのか棘君に「ツナ」と言われながら肩を軽く叩かれ励まされた。

「悟の事だから何か考えでもあるんだろ」
「考えってまさか“相性最悪な二人が実習で仲良くなるとか青春でしょ!”とかじゃないの?」
「そんな事、あるかもしれないな」
「しゃけ」
「でしょうー?」

真希ちゃん大丈夫かなあ。あっちには五条先生が居るから最悪なことは起きないと思うけど。そんな事を考えているとパンダ君が近くに呪霊の気配がすると言ったので取り敢えず呪いを祓う事に意識を集中した。

「疲れたー」

廃病院内の呪いを全て祓い終わり伊地知さんが待っている車内に向かう。私達が車内に入ると伊地知さんから「お疲れ様です」と言葉が返ってきた。通常ならこのまま学校に戻るのだが

「ねえねえ伊地知さん、真希ちゃん達ももう終わってるの?」

あの二人がやはり心配だったので実習が終わったか伊地知さんに尋ねると目が泳いで言葉を濁す。

「ねえねえ、何で黙っちゃうの?」
「何かあったのか?」
「高菜」

二人も伊地知さんのあからさまな態度に察して問い掛ける。すると観念したのか伊地知さんの口が開くのだが

「禪院さんが呪いの攻撃で怪我を負い今病院んで治療を受けてます」

その回答に「はあ?」と私の声が車内に響きのは不可抗力である。

私達は伊地知さんに頼み真希ちゃんが居る病院に連れて行って貰った。パンダ君と棘君は先に真希ちゃんの病室に行っている。私は売店である物を買ってから向かうと廊下に五条先生と転入生が居た。

「あれー琴葉?パンダ達なら真希の病室にもう行ってるよ?琴葉が一目散に真希の所にいかないとは珍しい」
「知ってるよー。棘君達に先に行ってって言ったの私だもん。真希ちゃんの前に先に用を済ませておこうと思って」

視線を転入生に向けるとあからさまに体がビックと震える。真希ちゃんを傷つけた原因は自分にあると思い、それで私に怒られると思っているのだろう。

「これ、あげるね」
「…へっ?」

先程売店で買った袋一杯に詰め込んだお菓子を転入生に渡す。それが予想外だったのか転入生はなんとも気の抜けた声を出す。

「何その反応。私に怒られると思ったんでしょう。ひどーい」
「あっ、その、ごめんなさい」
「いいよー、いいよー。君に怒ってないしむしろその逆だよ」

真希ちゃんを助けてくれてありがとう。

お礼を伝えると転入生は大きく目を見開く。病院に移動中、伊地知さんを問い詰めて事の詳細を聞いた。真希ちゃん達は実習先で呪いに飲み込まれてしまったらしい。その時真希ちゃんは呪具を持っておらず絶体絶命、そんな時に転入生の働きにより真希ちゃんと他に取り込まれていた子供達を助けたらしい。

「でも、あれは里香ちゃんがやってくれて僕は何にも…」
「その里香ちゃんを呼んだのは君でしょ。ならやっぱり君のおかげだよ。それに歩けない真希ちゃん達を運んだんでしょ?」

私が指摘すると彼は「うー」とか「でも」とか言って言葉を濁す。その自信のなさは本来の性格なのだろうか。

「君がでも、とかだって、って言っても皆を助けたのは事実。転入初日からそこまでできるなんて凄いよ。だからそのお菓子は真希ちゃんを助けてくれた感謝の気持ちと君の転入祝いだよ!」
「う、うん。ありがとう如月さん」

私の気迫に負けてかやっと素直に頷いてくれた。うん、よろしい。

「でも、このお菓子の量ちょっと多いかも」
「その時は私が食べるの手伝ってあげるよ」
「それって琴葉が食べたいだけじゃない。憂太、その時は僕が食べるの手伝ってあげるよ」
「それって先生も食べたいだけじゃん」

そんなやり取りをし、目標は達成したので真希ちゃんの病室へ向かおうとする。二人も一緒に行くか尋ねたらまだ二人で話すことがあるらしい。

「じゃあ私は真希ちゃんの所に行くね。憂太君、また後でね!」

私が転入生、いや憂太君の名前を呼ぶと彼はまたも驚いた顔をした。そして

「また後で!」

今度ははっきりとした返事が返ってきた。うん、よろしい!

その後、病室で

「真希ちゃーん!大丈夫!?足痛くない?」
「うるせぇ!ゆっくり休めないだろ!」

真希ちゃんに怒られるのはまた別の話。



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