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コンコン


ノックの音が響いた。ザンザスはソファに座ったまま赤い目でジロリと扉を睨み、
「入れ」
とだけ言った。

少し間があって全体的に白っぽい印象のスクアーロがおずおずと入ってきた。普段なら扉が壊れそうな程、否すでに数度壊しているが学ばない乱暴な仕種で出入りする。
呼び出しを無視していたので警戒してのことだろうか。

「…てめぇ、学校の制服も男装なのか」

じっとスクアーロを見つめながらザンザスがそういった。
「ふぇっ…?あ…あぁ。悪ぃか?」
まず殴られるのを覚悟してきたのに思いの外ザンザスが穏やかで拍子抜けしたスクアーロは思わず間抜けな返事をしてしまった。


続く言葉を見つけられず2人共沈黙してしまった。
立ったままなのもなんとなく気まずいしザンザスの向かいのソファに座ろうと、スクアーロは部屋の中央へと進んだ。


「スクアーロ、お前女なんだってな?」
ソファに座ると、ザンザスが突然そう言った。


「…誰に聞いたんだぁ?」
「ヴァリアーのテュール。ヤツはお前の後見人だな?」
(くそっあのジジィ)
勝手に自分の性別を洩らした壮年の男への怨みを感じながらソファに背を預けた。
「なんで言わなかった?」
ザンザスの赤い目が睨む。
「俺はお前に《どっち》だとも言ってないぜぇ。ただ女だと公言してたら剣士として使って貰えないかもしれねぇし…正直知られたくはなかった」


確かに性別がどっちなのかなんて通常聞かなくても分かるので言うこともないだろう。
ただ、スクアーロは男にしては細い。女にしては粗雑。性差の出てくる年齢の割りに中性的で判断がとりにくく、つい態度や喋り方で周りもザンザスも皆男だと思いこんでいた。

「他に…秘密にしていることは?」
「ねぇぞぉ。…思い付く限りはなぁ」




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