その指先が甘い疼きを灯していく




捲れ上がったカットソーは皺を作って、ずらされた下着と一緒に絡まっていた。その所為で露わになった、日に焼けていない白い肌へと食い込む浅黒い指が、膨らみの柔らかさを確かめるようにやわやわと揉み上げる。



「…っ、ん…ぁ」

「ナマエ…」



ぐにゃりと形を変えていく膨らみに唇を寄せ、紅い痕を残していくローさん。ピンと主張するように尖り始めた胸の飾り、その周りを焦らすようにぬるりとした感触が這う。

今まで経験したことのないその不思議な感覚に、一際大きく身体が跳ねてしまった。


そんな私の反応を見逃すはずもないローさんが、赤く色づいたそれを口に含む。転がすように舌先で嬲られ、ぴちゃぴちゃと子猫がミルクを飲むような音がやけに耳についた。



「やっ…ろぉ、さ…」



羞恥に耐え切れず身を捩って逃げようとする身体をゆっくり押し倒しながら、形のよい薄い唇が私のそれを塞いだ。



「ナマエ、」

「んっ、ろ…さんッ、やぁ…」

「大丈夫だ。最高に気持ち良くしてやる」



ローさんは顔中に口づけを降らせながら、身体を強張らせる私を安心させるように頬を優しく撫でてくれるけれど。一方でもう片方の手のひらは、膨らみを揉みしだくことを止めない。


優しげな手つきで与えられる愛しむような感触と、性感を引き出すように力を込めて与えられる感触――この相反する二つの感覚が生み出すふわふわとした浮遊感に、脳内はいつの間にやら支配されてしまった。


唇、舌、指先。その全てを使って丹念に施される愛撫は、身体の中心を熱くさせる。必死にしがみつく理性を溶かすように、高まる熱はじわりじわりと私の身体を内側から蕩けさせていった。



「ナマエ。指、舐められるか?」

「えっ…あッ、んんっ…ふッ…!」



突然口の中に差し込まれた二本の指。小さな口内を満たす骨張った人差し指と中指は、少し苦しいけれど。私を見下ろすローさんの瞳に促されるように、恐る恐る舌先で触れてみる。



「そうだ、それでいい。上手だ」



ローさんの言葉に後押しされて、ぎこちないながらも少しずつ舌の動きを大きくしていけば。続いていた胸への愛撫も相俟ってか、熱を放ち始めた下腹部に言いようのない疼きが生まれた。


初めての感覚にどうしていいか分からない。得体の知れないソレは私の全てを攫っていってしまいそうで、それが何だか怖くて。振り払うように頭を振った。

けれど咥え込んだ指先が離されることはなく、上手く飲み込めずにいた唾液が口端から垂れ落ちる。



「んっ、ふ…ッ」

「フフ…エロい顔」



小さく笑ってからやっと指を抜き取ってくれたローさんが、だらしなく流れたその唾液を追って舌を這わす。変わらず羞恥は続くけれど、解放された口内へ空気を取り込むことに必死の私は、力なく横たわりされるがままの状態だ。



「あっ!ダメッ…ぁ、ンンっ」



そして息つく暇もなく、熱を孕んだ下腹部に走る刺激。私の唾液に塗れたローさんの指が下着の中へ滑り込んできて、わずかに湿り気を帯び始めたその場所へ触れたのだ。



「力抜け、ナマエ」

「やぁ…ムリっ、あっ…あ、」

「…っ…狭いな」

「あっ…やぁ、んっ…い、た…ッ」



たった一本の指だというのに、すんなりとは入っていかない。何故ならこれまで異物の侵入を許したことのないナカは、指一本の通り道さえまだ出来てはいないのだから。



「ナマエ、ゆっくりと息を吐け」

「んぁあ、いっ…む、りぃ…あッ」



挿し込まれた指を吐き出そうと、きつい伸縮を繰り返す内壁。それでも負けじと、蠢く襞をゆっくりゆっくりと押し広げていくローさんの指に、自然と眉根が寄ってしまう。



「あ、あっんッ…ろぉ、さんっ…」



ギュッと寄った眉はきっと情けなく八の字を描いているだろう。無理やり押し広げられていく痛みはもちろん消えないけれど……それだけじゃないことにも気付いているからこそ、余計にどうしていいか戸惑ってしまう。



「ナマエ…このまま何も考えず、俺だけを感じてろ」



奥からじわりと湧き上がってくる蜜と昂り。顔を出し始めたそれらを解き放つように、ローさんが唇を落としていく。

感じるままに、そのままの私でいいのだと…どこか言い聞かせるような柔らかな口づけに涙が出そうになった。





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