君とじゃれあう時間の愛おしさ どれくらいの間そうしていたのか…心地よい疲労感に浸りながら、じゃれ合うように身体中へ落とされていくローさんの唇を受け止めていると。 肌に触れる吐息は次第に熱を帯び、明確な意思を持って蠢く指先のせいで、頭の芯が蕩けそうになるあの感覚がまた蘇ってきた。 「ナマエ、」 「んっ…ちょ、待って待って!」 「…ダメか?」 情欲の色を灯した瞳が真っ直ぐに私を射抜く。それだけで金縛りにあったように身体の自由は奪われ、いとも簡単にその鋭い視線に囚われた。 「だめって言うか…あっ!」 素肌を這う大きな手のひらが、二つ並んだ膨らみを確かめるようにゆっくりと揉み上げる。ぐにゃりと形を変えた先で色付く飾りは、ピンと立ち上がって主張していた。 それをぱくりと口に含んで嬲るローさんの舌先に、つい嬌声が漏れてしまう。 「やべェな、一度触れちまったら…止まらねェ」 「でもっ、んん…ッ、あ……」 ――ぐぅううぅ〜きゅるるぅ… 切羽詰ったような吐息混じりのローさんの声と、抑えきれずに上がる私の艶めいた喘ぎ声。どこか淫靡なムードが漂い始めたその空間を切り裂いたのは―…大きく鳴り響く、私のお腹の虫。空気が読めない、なんてレベルじゃないよコレ…。 「……おい」 「…ごめん」 「これはデジャヴか?確か前にもこんな事があったよなァ?」 「あ、あはは…うん、あったね…」 えへへ、と誤魔化すように笑う私を一瞥してから。さっきまでやけに色っぽくてピンクなオーラをムンムン出していたはずのローさんが、がっくり肩を落としながら大きく溜め息を吐いた。 「はあ……ま、仕方ねェか。昼飯も食わずにずっと抱いてたからな」 「だ、抱くとか言わないでっ!恥ずかしいから!」 「…あんだけ俺の下で鳴いといて、今更だろ?」 「わああッ!やっやめて!恥ずかしい!死ぬっ」 さらっと告げられた言葉に本当に今更ながら、大人の階段上っちゃったんだなぁ…なんて妙な実感が湧いてきて。火照る両頬を隠すように手を当てながら慌てる私の頭を、ローさんがくしゃりと撫でていく。 口端に浮かべた笑みは思いの外優しくて。ふっと頬を緩めるその表情に、心臓をぎゅっと掴まれたような心地がした。 「腹、減ったな。…メシ食うか」 「え、あ…うん。ってか、今何時なのかな?」 「さあな。外はもう暗くなってんな」 組み敷いていた私の身体を解放しながら、ローさんが床に散らばった洋服を拾い上げる。手渡されたそれらをあまり自由の利かない身体に纏ってから、二人一緒に食堂へと向かった。 目次 | *前 | 次# |