持て余す感情を操縦する術はなし




欲情しているのだ、簡単に言えば。

己の感情を分析し、これまでの行動パターンに当て嵌めて、次のアクションを弾き出せば―…答えは容易に出る。


この自分とは違う細くて白い腕を引っ張って、そのまま適当な宿にでも転がり込めばいいだけのこと。


――だが、それが出来ないのは何故だ。


確かに戯れにコイツを抱きしめて眠ったり、からかって遊ぶことはある―…しかし島で見つけた娼婦と遊ぶように、その先の行為へ進むことはなかった。

仲間と認めた、クルーだからか?それとも、ナマエだから…?分からない。


ただ、自分の性欲処理の為にコイツを使ってはいけないような…そんな気がして。



「ちょ、ちょっとローさん!痛いってば…!」


「…、ああ…」


「何?どうしたの?さっきから変だよ。やっぱり疲れたんじゃ…」


「キャプテン、どっかで少し休憩する?」


「……いや、」



理由が分からない、ひいては自分の知らないことがあるという事実は、俺を酷く苛つかせた。

それはもう、心配そうにこちらを窺うナマエやベポに返事することさえ億劫なほどに。


クソ、面倒くせェ――…



「……1発ヤってから帰る。お前らは買い物済ませて先に戻ってろ」


「は、…え?…はぁああぁあ!?」


「キャ、キャプテン!?急にどうしたの!?」



きっとしばらく島に停泊してなかったから、溜まって苛々したんだろう。そう無理矢理結論付けて、ならば後は己の欲求に素直になるだけ…そう思った。



「ほら、さっさと行って来い」



目を丸くさせる二人に金を押し付けて、背を向け歩き出せば。驚きなのか呆れなのか…もう何も言葉は返ってこなかった。




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