仲良く、お買い物…?




ペンギンに船を追い出された私、ベポ、ローさんの三人は、島の中心部と思われる繁華街へ来ていた。

一番の目的はもちろん、私の洋服や下着、生活用品等々を揃えるため。



「ねえローさん、本当に買ってもらっていいの?」


「あァ?くだらねェこと聞くな、どうせお前は無一文だろうが」


「そ、そうだけど!…一応礼儀と言うか、何て言うか…その、」


「何ブツブツ言ってんだ。おいナマエ、次あそこの店入るぞ」



そう言ってスタスタ前を歩いて行くローさんの後を、既に買い物袋をいくつか抱えたベポが小走りで追いかける。


春夏秋冬、それぞれの島の気候に合わせた洋服や小物を片っ端から揃えるのだから、膨大な量になるんだと理解は出来る、出来るけれど―…

本当にこんなに買ってもらって大丈夫なんだろうか?それとも海賊はこれくらい豪快に買うのが普通なの?私が庶民すぎるだけ??



「おい、モタモタするな。早く選べ」



数歩遅れて店内へ入った私の腕を、刺青だらけの腕がグイと引っ張る。


よろけた先はローさんの隣――もう定位置と言っても過言じゃないほどに見慣れた、この角度から見上げる整った顔、顎髭、揺れるピアス。



「何ボーっとしてんだ。…あァ、そうか俺に…」


「見惚れてなんかいませんから」


「フフ…照れてんのか」


「なんでやねん!」


「息ピッタリだね!キャプテンたち」


「……別に漫才してるわけじゃないんだけどね」



のんきに笑うベポを横目に、はあ…と大袈裟にため息を吐きながら、ハンガーに掛かった洋服を端から順に見ていく。


何も分からないまま入ったお店だったけれど、どうやら此処はレディスとメンズの両方を扱うセレクトショップのようだ。


隣のラックに掛かった男物の洋服をローさんが手に取る光景が、もちろん初めて見るからっていうのもあるんだろうけど…何だか妙に面白くて。

…だって、あのトラファルガー・ローが服見てるんだよ?しかも真顔で。


そんな失礼なことを考えながらニヤニヤしていると、視線に気が付いたローさんと目が合い、怪訝そうな顔をされた。



「…お前な、選ぶ気がねェんなら俺が勝手に見繕うぞ」


「えっ、それはちょっと…やだ」


「てめェ…、」



「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」



大人げなく顔を歪めるローさんの言葉を遮るように聞こえてきた、爽やかなテノール。


――ニコニコと愛想のいい笑顔を浮かべてこちらを窺う、男性店員さんが立っていた。


こんな長い刀持って、白熊連れてるような、見るからに悪そうなお客によくぞ声を掛けたな…なんて、こっそり感心した。




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