主催者直々、招待に来られました




「やぁやぁシャチ君、元気にしてるかね」


「うぜええぇ!おまっ、よくこの状態の俺に向かってンなこと言うな!?」



昼食の後片付けを終えてから、未だ甲板で正座中のシャチの様子を見に来れば。

感謝されこそすれ、責められる謂れなんてナイと言うのに。あろうことかウザいとか言われたんですけど…!カッチーン。



「何よーせっかく心配して残ってたピザ持って来てあげたっていうのに!」


「えっ…マジで!?」


「いいよ!私が食べちゃうんだからねーっだ!ほーらほらほら!」


「うおっ待て待て!待って下さ〜いナマエちゃーん!プリーズギブミーピッツァ!!」


「…ったく、調子いいんだから〜…はい!」



意地悪して上半身だけのシャチでは届かない高さまで見せつけるようにピザを持ち上げると。

お腹を空かせたキャスが必死で手を伸ばしてくるもんだから、さすがに可哀想になってすぐ許してあげた。

…とか言っちゃうと、半分はお前のせいだろ!って怒られそうだけども。



「さーんきゅ!恩に着る!」


「はいはい」



少し冷めたピザを美味しそうに頬張るシャチの横に私も腰を下ろす。それからふと周りを見渡して気が付いたことが一つ。



「…そう言えばさっきの洗濯物は?私、放ったらかしのままローさんに引き摺られてったよね?」


「んぁ?あーアレならペンギンが干すところまでやってくれた!」


「うそっ!悪いことしちゃったなぁ〜…私、雑用くらいしか出来ることないのに…」



さっき食堂で会った時にお礼くらい言えば良かった…なんて肩を落とす私を、呑気なシャチが笑い飛ばした。



「細かいこと気にすんなって!元々、掃除洗濯はペンギンの得意分野だしな」


「そうなんだ!?…なんか期待を裏切らないよね、ペンギンって…」


「船長がこの船の大黒柱なら、ペンギンはおかん役だな!ははっ」


「おかんって…!ぷっ…やば、すごいウケるんだけどーあははっ」



何故だか妙に笑いのツボに入ってしまって、ヒィヒィ言いながらシャチと笑い転げていると―…遠くから私を呼ぶ声が。



「あれ、なんか呼ばれてる?」



そしてタッタッタッと軽快な足音と共に現れたのは…噂の張本人ハートのおかん、ペンギンだった。



「あぁ、こんなとこに居たのか。シャチも船長のお許しが出たから、ほら行くぞ!」


「「 へ…?」」



キョトンとシャチと顔を見合わせていると。

バラされたシャチの身体をおもむろに抱え上げながら、しれっとペンギンが言い放った。



「何してんだ?今からみんなで海賊人生ゲームするぞ!早く来い、ナマエ」


「は?…マジですか」



うわーまだ引っ張るか、そのネタ。

…まぁでも、嬉しそうなペンギンを見るのもちょっと面白い気がするんだけど。


ハイ、どうやら今から『第1回海賊人生ゲーム大会』が催されるようです。


もちろん主催者は…ペンギン!




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