蓋を開ければこういうコトでした




止まない怒号の中、真っ直ぐに向かってくる銃弾。

その光景が映画のコマ送りのようにやけにスローモーションで、何だか不思議だった。



ガッシャァァァアアアン!!!!!



放たれた銃弾は、ペンギンの言いつけを守ってしっかり抱きしめていた海賊人生ゲームの箱に当たり、わずかに軌道が逸れた。


銃弾を受け止めた衝撃で、海賊人生ゲームの箱と付属品であるおもちゃのベリー紙幣やルーレットが空を舞い、ナマエも派手に甲板へと倒れ込む。




「な、なんで…っ!…ナマエっ!!」



「あー…ベポが名前呼んでくれたぁ…」




駆け寄った涙目のベポに弱々しく笑うと、ナマエは意識を手放した。





***





「…あ…れ……ここ天国…?」



ぼんやりと浮上した意識を逃がさぬように、パチパチと何度か瞬きを繰り返す。



「バーカ、銃弾が掠ってもないのに死ぬわけねェだろうが」


「……へ…?」



ポトリ、と音を立てて額から滑り落ちたタオルを拾い上げながらローさんが鼻を鳴らして笑う。意識を取り戻してみれば何ということはない。


あの時肩先を掠めた銃弾はナマエの身体に触れることはなく、代わりにペンギンがやたら執着していた海賊人生ゲームの箱を木っ端微塵にした。


その様子を見たペンギンがキレてしまい(滅多にないことらしい)暴れまくった結果、ものの五分もしないうちに敵船の海賊団は壊滅状態になったらしい。



「せっかく久しぶりにいい運動が出来ると思ったんだがなァ」



残念そうに顎髭を撫でるローさんをぼんやり眺めていると、ハッと気付いた。



「あっ…ここまで運んでくれたんですよね?ありがとうございました」


「いや、運んで世話したのはベポだ。俺はちょうど今、様子を見に来たとこだ」


「え…ベポが…」


「お前にあんな態度取った手前、助けられたのが気まずいんだろな。俺と入れ替わりでどっか行っちまったが」


「あとでお礼言わなきゃ…」


「あァ、そうしてやってくれ。あいつあんなデカい図体してやがるが、気に病む性格なんだ」



あーそう言えば漫画でもそうだったなぁ…と一人納得していると、ポンッと頭に乗る骨ばった大きな手。



「……?」


「目ェ覚めたんなら、メシ行くぞ」


「……っ」



ニヤッて笑いながら頭ポンポンとか…ちょ、ヤバいっす、死の外科医様…

ごめん、今までサンジしか興味なかったけど…今のは、ヤバい。ちょっと…キたかも。




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