妄想と現実は違うらしい




え、え、敵襲って!
海軍とか他の海賊船と一戦交えちゃう、アレだよね…?

どどどどうしよう…!
私、武器も持ってないし戦えませぇん船長!と思って、慌てて横にいるはずのローさんを見ると。


い、いないし!

…あっ!!



「俺の船にケンカ売ってくるとはイイ度胸だ」



口の端をニヤリと歪めて、部屋を出て行こうとするローさんは悪魔の化身のごとくめっちゃイイ笑顔だった。



「よっしゃー!久々の戦闘だぁー暴れんぞっ!」



そしてローさんに続いて、右腕をぐるんぐるん回しながら嬉々として部屋を出て行くシャチ。


お前らなんだ、その猟奇的な笑顔は…!野蛮人め!

…って、あ…そっか海賊だったっけ。


え…てか、か弱い女の子放ったらかして行っちゃうワケ?ここは普通、危ないから隠れてろ!とか言って出て行くトコじゃないの??


何だか凄く腑に落ちない感が否めず、悶々としていると声をかけられた。



「ナマエ…」


「ぺ、ペンギン…っ!」



うんうん、そうだよね。ペンギンって唯一まともそうっていうか、落ち着いた雰囲気がどことなく紳士っていうか?

やだ、どうしよう。迷い込んだ世界で俺が守ってやるとか言われたら恋に落ちちゃうかも…!



「…この……海賊人生ゲーム、預かっててくれないか」


「……へ?」



え?てか、えぇえええー!?
もしかしなくても、私 < 海賊人生ゲーム…だったりする?



「…あー…うん…分かった…」



なんか、この船での自分の立ち位置も分かった気がするけどね。

きっとサンジなら、レディを危険な目に遭わせるわけにはいかない!とか言って守ってくれるんだろうなぁ…はぁ。


とりあえず部屋を出て行った三人を見送り、胸に抱えた海賊人生ゲームをギュッと強く握り締めた。


ドンマイ、わたし!!




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