人に歴史あり、ってことで




倉庫に着いて、シャチから歯ブラシやらタオルやらの当面の生活に必要なものを受け取った。


ちなみに倉庫の隣は貯蔵庫らしく、盗み食いすんなよって言われた。失礼な奴め…シャチにはキングオブ失敬の称号を授けようと思う。


すっかり打ち解けて、ギャーギャー騒ぎながら二人で廊下を歩く。物置部屋へ着くと、開け放したドアの向こうでペンギンが立ち尽くしていた。



「あっごめんなさい!一人で片付けさせちゃって。私もすぐ手伝いますね」


「…ん?…あぁ、ナマエか。片付けはあらかた終わったんだが、懐かしいもんが沢山出てきてな」


「えっなになに〜?昔の写真とか!?」


「いや、…海賊人生ゲーム」


「……なにそれ」


「あっこれ俺の秘蔵エロ本じゃん!こんなとこに仕舞い込んでたのかよ〜」



ペンギンの足元にある段ボール箱を覗き込むと、出てくる出てくる…ガラクタ・不要品の数々。


エロ本を大切そうに胸に抱えるシャチに冷ややかな視線を送りつつ、箱の中を漁っていると。



「わっ!このバッグ可愛い!!」


思わず手に取ったのは、男だらけの海賊団に似つかわしくないレトロな花柄プリントのミニボストン。



「…ん?」

「あ?」

「どうした?」



「……な…、なんっっじゃこりゃゃぁぁああ!!!!」




ドサリと滑り落ちたカバンから覗くのは、ピラピラのスケスケでイケイケなレースの下着たち。




「あ…」


「それって…」




――…カツカツカツカッ




「てめェら、片付けくらいもっと静かに出来ねェのか!落ち着いて本も読めやしねェ」




怒声と共に現れたのは不機嫌そうな死の外科医、トラファルガー・ロー氏。




「…あ、船長が連れ込んだ女が置いていった下着が出てきましたよ」




大切そうに海賊人生ゲームを胸に抱えたまま、顔色ひとつ変えず言ってのけたペンギンを、ちょっぴり尊敬した。


でもとりあえず。


さっきの倉庫へ向かう間の私の感動を返してくれないか、ハートの海賊団。




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