それは確かに在るべき場所への回帰




ベッドの上に広げていた荷物をポンポンと麻袋へ詰めていく私を、ローさんが怪訝そうな表情で見つめる。


物言いたげな視線に気付き、ゆっくりと向き直って見据えたローさんの姿。

その強い眼差しを真っ直ぐに受け止めて、今なら自信を持って言えるよ。



「私の居場所は…もうこの船だけだから。あっちの世界の持ち物は、もう処分しようと思ってね」


「ナマエ…」


「なんかさ、あっちの世界の物があるせいで…自転車の時みたいにまた渦が現れても怖いでしょ?」



そう、荷物整理はすべてローさんとこれから先もずっとこの世界で生きていく為の儀式。

たった独りで虚しく生きていく毎日から、私を呼んでくれたのはローさんだと思ってる。もう二度とひとりぼっちになんて、なりたくないから。



「――改めまして、これからもよろしくお願いします!ロー船長!」



畏まって頭を下げる私に、そばに立つベポ、シャチ、ペンギンも嬉しそうに笑ってくれた。返事を待って、ローさんをじっと見つめれば―…



「フフ…ナマエ、そうじゃねェだろ」



「…え?」



返ってきたのは予想もしていなかった言葉で。目を丸くする私の頬を撫でると、ローさんがニヤリと笑った。



「お前の居場所は―…このハートの海賊団船長の、俺の傍だ。違うか?」


「ローさん…」


「お前が自分で決めたんだ、もう泣こうがどうしようが…元の世界には帰してやらねェぞ」


「…もちろん、分かってるよ」


「だがな、俺の傍を離れねェって誓うなら…どんな事があっても必ずお前を守ってやる」


「…ん、」


「俺について来い、ナマエ」


「!…はいっ…ローさん!」



冷やかすようなシャチの口笛と、ドスンドスンと嬉しそうに跳ねるベポ、腕組みをしたまま弧を描く唇を帽子から覗かせるペンギン。


そんな仲間たちに見守られながら、ぎゅっと抱きしめられたローさんの腕の中。私はこの温もりを、これから先も絶対に手放しはしないだろう。





迷い込んだ世界で出会った
たった一人の大切なあなた
ありふれた暮らしの中で
有り得ない出会いを果たして
世界をねじ曲げてでも
叶えたい想いを見つけました




だからどうかその強い眼差しで、ずっと私を捕まえて、離さないでいてね。





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