そしてカードは未来を指し示す




カードを並べていくホーキンスさんを見守る私の横で、滲み出る苛々を隠そうともせず、大きく舌打ちするローさん。



「チッ…何だこいつ、消されてェのか」


「わっ、ちょローさん待って!ほんとにただ占ってるだけみたいだよ!?」



黙々とカードを並べるホーキンスさんに向かって刀を抜こうとした、ローさんを止めようと必死で腰にしがみつく。


こんな所で騒ぎを起こして海軍でも呼ばれてしまったら堪らない。それより何よりも、億越えのルーキー同士が本気で戦ってタダで済むはずがないのだ。


けれどそのままローさんにズルズル数メートル引き摺られ、ホーキンスさんの手元が覗きこめる場所までやって来れば――

途端に気になり始めるのは、独特の雰囲気を持つホーキンスさんの能力だったり、そのキャラクターだったり…。あと、仲間の猫の人とか。


第一あの占いの的中率は、そもそも悪魔の実の能力なのか?とか、気になりだしたら止まらない…!



「あの〜…ホーキンスさんって、悪魔祓いも出来ます?」



ギロリと音がしそうな勢いでローさんに睨まれたが、ここで諦めちゃ女が廃る!

怯まず答えを待つべく、ホーキンスさんへじっと視線を注げば。ゆっくりとカードから顔を上げ、律儀に答えてくれた。



「それは出来るが、お前に悪魔は憑いていないようだが…?」


「あっ、出来るんだ!…や、ちょっと聞いてみただけなんですけどね!」


「ああ、しかし…悪魔ではないがお前の身体を付け狙う、低俗な存在を感じるな。……色魔の類だろうか…」


「…ぶっ!!し、色魔っ、あはっ!」



淡々と告げられるホーキンスさんの言葉に、思わず噴いた。だって明らかに色魔=ローさんだもん、当たりすぎてコワイ…!!



「ナマエ…てめェ…」


「!!……ッ痛い痛い痛い!」



ちょっとした感動に浸っていた私のこめかみに、ローさんの容赦ない拳がぐりぐりと押し付けられた。ちょ、何この仕打ち!



「それよりもしばらく身の回りに気を付けたほうがいい。トラブルの暗示が出ている」


「ぇええぇ!?」


「それから………これがよく分からないな、他のカードとこれだけが繋がらない…」



自分の占いに絶対の自信を持っているんだろう。だからこそ本当に、それはもう心の底から不思議そうに、ホーキンスさんが呟いた。



「…?」



「在るべき場所への回帰、と出ている」




ホーキンスさんの言葉に、思わず隣に立つローさんと顔を見合わせる。

ぎゅっと掴んだパーカーの裾が皺を作るのにも構わず、この握る手を離すことが…私には出来なかった。




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