勘違い?願ったり叶ったりです




いくら寝惚けてたとしても、さっきのアレは実にひどい。朝っぱらから卑猥なムードを出しすぎだ。健全な白熊に見せれるモンじゃあないと思う。


ぶつぶつ文句を零す私なんてお構いなしに、大きく欠伸をしながら身体を伸ばすローさん。



「ナマエ、メシ食ったら街行くぞ」


「…へ?なんで?」


「昨日のやり直しだ。今日はちゃんと付き合ってやるよ、買い物」



まだ下着を選んでやってなかったからなァ、とか何とかニヤつきながら顎髭を撫でるローさんの姿は、はっきり言って変態以外のなにものでもない。


――いやいや、それよりも言いたいことは…一つだ。



「あのさ、気持ちは嬉しいんだけど…今はこの部屋から出たくない気分…」


「あ?…まさか、今日はずっとベッドの中で過ごしたいのとか言う――」


「疲れるから黙ってて、お願い」


「…チッ……ノリの悪い女だな」


「余計なお世話だよ!…ていうか…絶対さっきのアレ、ベポ勘違いしてるし…」



今食堂なんて行ったら、みんなにからかわれるのは必至。そんなの恥ずかしすぎて死ねるでしょ。


―…なんて頭を抱えていると、今まで見た中でも最上級に不吉な笑みを浮かべたローさんが、私の身体を抱き上げた。



「ぎゃあ!ちょっ、ちょ…待っ!降ろして〜!」



暴れる私の耳元に顔を寄せながら、愉しげに喉の奥を鳴らして低く囁く。



「勘違い?…丁度いいじゃねェか、本物にすりゃいいだけの話だ」


「なっ…!」



あ、悪魔だ…悪魔がここにいるっ!ローさんの頭から触角みたいな角が生えてるのが見える気がするもん!

あーもうホントやだ、誰かこのセクハラ野郎、祓ってくんないかな…!!




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