結局みんな、暇なんだね ベポに連れて来られた先には、ニヤリと笑うローさん。どことなく上機嫌に見えるのはお酒の所為だろうか? 「来い、ナマエ」 ぐいと腰に巻きつけた腕で引き寄せられれば、突然のことに反応が遅れてそのままストンと膝の上に乗っかってしまった。THE不本意! 「フフ、素直じゃねェか」 「いや、不可抗力だから。離して下さい」 「まァ待て。というか、お前はもう賭けの対象だからな」 「はぁあああ!?意味わかんない!何そ、れ……」 異議あり!とばかりに大声で叫ぶ私の視界に入ってきたのは―… 『ナマエちゃん乗船おめでとう記念 第1回海賊人生ゲーム大会』 と、食堂の壁にでかでか掲げられた垂れ幕だった。 いやいや、こんなの作る暇あったら仕事して下さい。切実に。 「はいはい皆様お立会い!1枠、海賊人生ゲーム命のペンギンか!」 「それとも2枠、バラされ姿も様になるモテないシャチか!」 「…おいっ!モテないってなんだ!コラ司会者!」 「はたまた3枠、船長大好きキュートな白くまか!」 「おいぃ!シカトすんなっ」 「最後に大穴4枠、空から降ってきた新入りナマエか!」 …って、なんか勝手に賭けが始まってるし。おい司会者、誰だお前コラ! 「絶対やだ!私やらないよっ!?」 「ナマエ…お前、俺の海賊人生ゲームには参加できないって言うのか?」 「いや、ちょ…待ってペンギン!そうじゃなくて…」 悲しげに呟きながらもどことなく黒いオーラを漂わせるペンギンに狼狽えていると。 この状況を愉しむように、ニヤニヤ笑う男の不愉快な声が耳元で響く。 「ナマエ、お前が出なけりゃこいつらの賭けにならねェ」 「いや、ローさん賭けてないんだから関係ないでしょ!」 「お前が一番に上がったら、明日は島で買い物し放題だ」 「…え、M字開脚しなくても?」 「もちろんだ。やるか?」 「やるっ!やります、海賊人生ゲーム!!」 まんまと口車に乗せられた私と、シャチ、ペンギン、ベポの前には並べられたおもちゃのベリー紙幣とルーレット。 そんな私たちの周りを囲むのは、目をキラキラさせながら紙幣を握りしめる他のクルー達だった。 |