江戸から東京になって早くも数百年という月日が経とうとしている。 すっかり東京の名が体に染み付き首都としての貫禄がついた今、不意にはたして自分達は首都となった事を望んでいたのだろうかと考えてしまう。 正確には片割れである“彼”が首都となることを望んでいたのだろうか、である。 まだ只の田舎で小さな体を抱き寄せながら存在していたあの頃から、江戸として日ノ本をまとめあげた頃まで。 首都である為にと膨大な首都としてのパーツを流し込まれ急激な成長を遂げた自分達に得たものは失ったものに勝ったのだろうか。 分からない、何事にも分からない。 小さかったあの頃にはお互いの考えている事が分かったのに、今は圏外にある携帯みたいな自分達にどこか目眩を感じた。 嗚呼、俺達は本当に東京なのだろうか。 - 2012/08/30 23:24 |