ザクセンとプロイセン,APH
  



泣きたくなった、のかもしれない。


だけど彼らにとっては、かつてはその強大な力で広大の土地を納めていた王国であり、また何時も周りを支えどんな時でも明るく笑い飛ばすの姉である、そんな存在が今になっては自分の首を絞める事になるなんて。

自嘲気味た笑みをうっすらと浮かべ、自分の瞳よりも澄んだ空色を視界に移すように天を仰ぎああ…、と感嘆の声を漏らす。

その際に後頭部に同じようなモノがぶつかり、意外と大きかった衝撃に肩を揺らし、状況の確認の為ゆっくりと後を振り向けば予想通りの光景が広がっていた。



「おいコラ、ザクセン」

『安心しろプロイセン、痛み分けだ』



いきなり自分を襲った衝撃に気がささくれ立ったのか、元々優しそうには見えない顔に拍車を掛けるように眉間に皺を生み、こちらを睨む奴がいた。

その表情のまま不機嫌そうな声を浴びせるように吐き出す事により、私に対する不満を表す奴に、私は詫びようとはせずにどちらかと言うと宥めるかのように言い放つ。


もう何百年もの付き合いだ、私の性分を理解しているであろう奴は只息を吐き出すだけでこれ以上は何も言ってこなかったし、私も弁解をしようとは思わない。

それに仮に言い訳をしようとすれば、それは私の弱音を吐露する事に繋がってしまうので、それだけは何としてでも避けたかった。


必死に虚勢を張ることでしか自分を守る事が出来ない自分が酷く憎たらしいと思えるし、何とも滑稽なのだろうと乾いた笑みを溢した。



(栄枯盛衰)




2012/04/28 17:33

|