※ルークの性別が♀ 『ねえ、ルーク 君はアッシュの事をどう思っているのかい?』 最初こそ小さいと思ってしまった自身の声は、この空間にはよく響き、それは同時にどれ程までここが静かであるかが理解出来た。 ゆっくりと目を細め見つめる先にあるのは、夕焼けの如く赤い長髪と、毛先は脱色し頬がとろけてしまいそうな蜜の色をした特徴的なしかし神秘的な髪の毛がそこにあった。 その髪の毛の持ち主は、長い睫毛に縁取られた翡翠色の大きな瞳をぱちくりさせ、その度に人を魅了させる効力をもつ鱗粉を撒き散らしているかのように錯覚させられる。 それと同じタイミングで薄く色付いた桃色の唇は薄く開かれており妙に色っぽい、同じ女である私がそう思うんだ、男の人だったら皆がそのように思うのだろう。 ぼんやりとそう思慮する事が出来る位、彼女は私の発言を理解するのに時間が掛かったが、その分素晴らしい反応をしてくれる事になる。 「はっ、はあ?! 別にアイツの事なんて何とも思ってないわよ!!」 瞬間、頬を暑い日差しに去らしたかのように赤く染まらせ、早口で否定の言葉を弾丸のように発射する彼女。 彼女が真実を言っているか否かは一目瞭然であり、勿論答えは後者の方である、彼女は嘘を上手につく術を知らないみたいだ。 自分でも赤くなっているのが分かっているのか、ヒラヒラと手を必死に動かし風を送る事で顔を冷ます彼女とは裏腹に、私はグランコクマにいる時のような涼しげな笑みを浮かべていた。 『ふむ…そうか ではガイはどうなんだい?』 「何でガイの名前が出てくるんだ? アイツは私の使用人だろ?どうって言われても…」 だいぶ落ち着いてきた所で、私は顎に手を当て考える素振りをしながら今度は違う問いを彼女にぶつけた。 その彼女は投げ掛けられた質問を理解するとたちまち不思議そうな表情を浮かべ首を傾げる、その際に肩から溢れた髪が光に反射して夜空に瞬く星屑のみたく輝いていた。 全てが美しい容姿とは反して、発せられる言葉は酷く残酷で、それが無意識の内に行われるんだから“彼”は本当に報われないと思ってしまう。 『ははっ、別に他意はないんだが しかし彼は有能な使用人だ、傍にちゃんと置いとくんだよ』 「そんなに心配しなくてもアイツは私から離れねぇよ、私の使用人なんだから」 朗らかに笑いながらやんわりと彼女の言葉を否定し、忠告のようにも感じれる助言を口にし空気を震わす。 だがその助言は彼女にとっては愚にも付かない事のようで、つい先程までは自分を扇いでいた手を、今度は顔の前でないないと横に降って私の言葉をバッサリと切り捨てた。 その行動は“彼”の事を信用しているからこそ出来る事なのだろう、私だったら様々な不安が押し寄せてくる事によって、とてもじゃないが彼女みたく断言出来ない。 だけどもその信頼感が“彼”や私の首を締め上げているだなんて彼女は思い付く事すら難しいだろう、況してやこの叶わない一方通行の事態に気付くなんてもっての他だ。 “彼”も損な役回りだと頭の端で思ったが、自分も言えた立場じゃないと自嘲気味に笑った。 多分続くかも 2012/04/17 18:51 |