赤い丸で囲まれた紙上を視界に映し、私は僅かにため息を溢した。 思わず力の入った掌によってその紙上に僅かに皺が出来るのを見て、急いで力を抜いた。 一応学生にとっては大事な紙なのだから。 「テストどうだった?」 『おふぅっ、…脅かさないでよ』 横から気配もなく登場したのはよくつるんでいる友人、彼女の手にもまた私達の運命を決める恐ろしい紙、基テストが存在していた。 こっそり点数を盗み見しようとする彼女から素早くテストを己の胸に押し付け、見られぬ様に死守した。 私ってばカッコいい。 その反面、友人は悪戯に失敗した子供を思わせる様な愛嬌を残したまま唇を尖らせた。 「あともう少しだったんだけどなあ」 『残念、そう簡単には見せられないな で?そっちはどうだった?』 私がそう声をかけた瞬間彼女の肩はガクンと落ち、その瞬発力は某黒人のうん百メートル走の世界記録保持者もビックリだろう。 彼女にとっては余り宜しくない結果だったようだ。 (その結果が私から見ても悪いものとは限らないけど) 飽きた奴 2012/01/01 15:19 |