小村照山観察記



『あの小村くんと、地味代表照山が付き合ってるらしい』

『照山が我らが小村くんをたぶらかしたんだ!』


最近の学園内では、小村さんと照山さんの関係について妙な噂が流れているようだ。
まだ知っている人数は少ないからそこまで大きな範囲に広まっている訳ではなさそうだが、ぼくとしてはあまり気に入らなかった。
ぼくや風太の知り合いである彼らがそういう噂の対象になっているのだ。いい気分になる筈がない。

…だが、彼らの仲の良さには正直ぼくも少し気になる節があった(因みに風太は全く気にしていないようだ)。
いつも見る感じでは、まあ確かに噂されてもおかしくない。とも思う。

だからぼくは、こっそり彼らの観察記をつけることにした。
聞こえは良くないかもしれないが、二人のためを思っての行動だ。
観察する中で彼らの方に疑われるようなやりとりがあれば噂の内容を教えて忠告してあげればいいし、特に何もなければあれはデマだったとこちらから噂を流してしまえばいいのだ。

…そんな訳で、まだ朝のホームルームが始まる前のこの時間、ぼくは風太の話に付き合いながら二人の行動をチェックしているのだった。

「小村くんっ!ノートノート!!」
「お、おうっ!」
「何としても終わらせないと…居残りなんてしてたまるか!!」

照山さんはなにやらとても焦っているようであった。
机に広げた自分と小村さんのノートにせわしく目線を行き来させ、常人とは思えないスピードでシャーペンを滑らせている。
風太が言うには、一時間目の授業中にノートを提出できないと居残り(鬼畜教師の指導付き★)で大量の課題を消化させられるらしい。

「あれ、照山さんって必要最低限の課題は片付けてしまうタイプだったと思いますが…」
「ああ…確かにそうだけど、昨日は睡魔に負けちまったみたいだぜ」
「成る程…因みに風太は?」
「ノートごと忘れた」
「…流石です」

風太のやたら爽やかな笑顔に軽い目眩を感じた時、ホームルーム五分前を告げるチャイムが鳴った。
照山さんはぼくが教室を出るまでノートと格闘していたから、恐らく小村さんに構っているだけの余裕は無かったのだろう。

一時間目が終了し、また肉まん組の教室にお邪魔する。
…と、照山さんが机に突っ伏しているのが見えた。



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