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心操(if):答えて
私の唇が彼のそれに触れて……離れた途端、頭にかかっていた靄が晴れる。「…心操く」「ごめんな。軽蔑、してくれ」吐き捨てて逃げ出す彼を止めた。逃げられると思ったのか、止めないと思ったのか。待ってよ、ねえ勝手に決めないで。「もう一回したい」「え」「好きだよ」君も、同じ気持ちなんでしょ?

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夢主を洗脳してチューさせちゃった心操くん



ランチラッシュとオムライス
「ランチラッシュ、ケチャップでハート描いて!」「はいはい」生徒の私が貰える形なんてこのくらいだ。「またそんな事して…」友人に無駄だと嗜められるが、私は別にこの恋心を叶えたい訳ではない。少しの特別があるだけで満足。図々しい欲なんて、玉子に包んで飲み込んでしまえば、ほらお腹いっぱい。



蛙吹:青いラムネ瓶のゆくえ
溢れる炭酸を慌てて吸い込み、吐き出すついでに好きだと言った。「ごめんなさい」「知ってた」叶わないと知っているなら、諦めれば良いのに…僕が言えた立場ではない。甘くて厳しいあの先生の様だったなら、彼女は見てくれただろうか。からり。落ちたビー玉は、悔しいほどに、僕たちとそっくりだった。

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相澤先生←梅雨ちゃん←男主
梅雨ちゃんの恋も男主の恋も叶わないし二人ともそれを知ってる



障子(if):「目蔵くん、大好き」
俺の名前。一拍遅れて、友愛の言葉。日を置かず繰り返される愛くるしいさえずりに、言葉で、あるいは人より余る手で以て応えるのは常のことだ。満足そうな笑顔が寄越す、まるく満たされた愛情に、邪心はかけらもないのだろう。だから、その言葉に淡い色を感じている俺に、どうか気付かないでいてくれ。



ステイン:羨望と、恐らくは恋慕
あなたみたいになりたかった、と呟いた女の息はもうない。目を見開き、俺の名を呼んでみせたそいつは、曰く高校で同級生だったらしい。最期にすがるような手が頬に触れ、塗りつけられた血が未練を匂わせた。血溜りに臥せる女の姿を見ても、やはり何の感傷も生まれない。じゃあな、正しき社会への供物。



障子(if):友愛というラインの先へ
お前らやっぱり、という言葉に、否定を返したのは何度だっただろう。「わ…悪い」と教室を出ていった級友に、いつものように「違うって」と笑えなかったどころか、6本の腕に私を閉じ込めて鼓動を高鳴らせている目の前の親友にさえ、何も言えずにいた。彼は、友達だ。友達だった筈だ。なのにどうして、



上鳴と友達
上鳴くんはいい奴だ。あまり気付かれていないが、誰より友達想いで優しい奴なのだ。と本人に言ってみた所、「そーかなあ」と気の抜けた言葉が返ってきた。「でも俺、彼女にはもっと優しいぜ?」「彼女いたことないでしょ」「ぅ…じゃあ、試してみるか?」「勘弁してよ」私は、彼とは友達でいたいのだ。



お茶子:それは恋心という名であった
仲がいいとは思っていた。羨ましいとも感じていた。しかし安心していたのは、その雰囲気がまるきり友愛のそれであったからだ。それが、ほんの少し変わっていたのに気が付いてしまった。恐らく俺が、いち早く。憧憬の眼差しにそっと添えられたそれは、俺が彼女に向けていたものと同じ色をしていたから。



ステイン:後日談
「ステインの真似か?」呼びとめた若い男は私の耳を指さしていた。異形系…緑色の肌にステインを真似た服を纏っている。「…このピアス、彼氏の趣味なのよ。お揃いにしてるの」「…ふぅん」つまらなそうに息をついた彼は、先日捕まった敵のファンなのだろう。ファンだなんて、まるでヒーローみたいね。

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ステイン逮捕後の彼女さんとスピナーくんです



砂藤:捕食
「砂藤くんっておいしそうだよね」「何だよ急に」「なんだか甘そう」「甘そう?名前か?」「んー…唇とか」反応が遅れた。彼女はいつも突拍子がない。「ねえ、食べていい?」だから、口角の上がった彼女の唇がゆっくりと近付いてくるのを、その時の俺は、ただ呆けて見つめていることしかできなかった。




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