もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ








七松くんが長次と一緒にご飯をとりに言った後の私は、顔がほてって熱かった


「篤葉ちゃん、顔真っ赤だよ、大丈夫?」
「・・・き、気にしないで・・・」


伊作くんが聞いてきたけど、私はそういって、顔を下に下げるので精一杯だった
七松くんに、名前で呼ばれてたっていうのが凄く嬉しくて、きっと長次の幼馴染だからなんだろうけれど、引き止めてくれたこととか、凄く嬉しくて・・・
留三郎くんも伊作くんもなんだかほほえましく私を見てるけど、私としてはそれどころじゃない
でも七松くんはまた戻ってくるから、それまでにこのほてりを沈めないといけないから・・・

私は眼を閉じて、すーっと深呼吸して心を落ち着けた
大丈夫、普段どおりにしろ、篤葉、私はできる、だってくのたまだもの

心が落ち着いたのを感じて、私は目を開けた


「そんなに好きなら言えばいいのに・・・」
「そうだぞ、我慢する必要なんてないだろ」
「ううん・・・伊作くんもわかってるでしょう?私の命の短さ」


私の様子を見ていて、二人は言うけれど、私が答えれば、伊作くんはつらそうに目をそらす
自分の体だもの、一番良くわかっているのよ
私がとても危ないんだってことは、わかるの、だから


「告げる気は、ないわ」


そういって、私は視線を落とした
そのとき、後ろから二人が戻ってきた


「なんだか暗いぞー?何かあったのか?」
「あ、気にしないで大丈夫よ」


七松くんは、うーんとうなってそうか?というと、私の隣に座った
長次は私の目の前に座り、私は懐から手紙を取り出した


「長次、これ実家から貴方宛に」
「・・・あぁ、ありがとう」


とても小さな声で話す長次にも、もうなれたもので、私は長次にどういたしまして、と返してご飯をゆっくり食べた


「そういえば、何で篤葉は私のことだけ苗字なんだ?名前で構わないのに」
「え・・・あ、じゃあ、小平太くん、でいい?」
「ああっ、そのほうが仲がいい感じがして私は嬉しい!」


にこにこと笑った七松くん改め小平太くんは凄くきらきらしてて、隣にいるはずなのに、なんだか遠い人のように感じた
そんな貴方だから、私は好きになったのだけれど




見えない距離はどれくらい?







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