side:小平太 おばちゃんにご飯を貰ってから戻れば、なんだか雰囲気がずーんとしてて、私は不思議に思ったのだけど、でも篤葉が大丈夫だというから大丈夫なんだろうなと思って、あまり気にせず篤葉の横に座った 長次が篤葉の前に座ると、篤葉は懐から出した手紙を長次に渡した 「長次、これ実家から貴方宛に」 「――――――」 長次がぼそぼそと返事を返すと、篤葉は笑って、どういたしまして、と返していた さすが幼馴染というところなのか?私は聞き取れなかった・・・すごいなぁ そのとき、そういえば篤葉は私以外みんな名前呼びだったことを思い出した 善は急げ!と私は篤葉に話しかける 「そういえば、何で篤葉は私のことだけ苗字なんだ?名前で構わないのに」 「え・・・あ、じゃあ、小平太くん、でいい?」 「ああっ、そのほうが仲がいい感じがして私は嬉しい!」 私は篤葉に名前で呼んでもらえることが嬉しくて、それがずっと昔のあの時と違わない呼び名だったことに内心喜んで、にこにこと笑った それに釣られるように笑った篤葉はとても可愛くて、けれどなんだか一線引いたような、そんな感じがして、篤葉が遠いような気がした ――――― side:伊作 じれったいなぁ・・・ それが僕ら共通の篤葉ちゃんと小平太に対する感想 傍から見てると二人が好きあってるのはわかるんだけど、本人達が鈍感っていうか、変に壁を作ってるから思いが通じ合うことはなくて そんなままだと、篤葉ちゃんは死ぬまで小平太に思いを告げないだろうな 留さんも二人にじれった過ぎてやきもきしてるし 長次はこの間まで二人を合わせるのに消極的だったけど、なんだか気が変わったみたいだし 別に障害なんて何もないのにね ちらりと留さんを見れば、留さんもこいつら早くくっつけよ、って雰囲気が出てる 小平太も篤葉ちゃんも気づく様子ないけど もうっ、早くくっついて幸せになればいいのに・・・ 本人達のまかり知らぬところで → 戻 |