もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ
始まりは桜の木の上






昔々
あるところに、村のどの子供より強い女の子がおりました
その子は強いが故に、他の子から避けられていました
けれど元来優しい女の子は、助けてと言われたら助けてあげる、優しい子

そんな女の子に転機が訪れたのは10歳の時でした
両親がお金をためて、学校に行きなさい、と言ったのです

女の子はもう、周りに手を延ばして弾かれることに疲れてしまいました
それでも、周囲が変われば何か変わるかもしれない、と一縷の望みを託して、彼女は学校
に行きました

そうして彼女が行ったその場所の名は"忍術学園"
このお話は、そうして彼女が5年生になったときの話


―――――



「ほのか!」


名前を呼ばれて振り返れば、友人が後ろから歩いてきた
次の授業が変更になったから伝えに来てくれたらしい
私は彼女にお礼を言ってから、いつも向かう桜の木の枝に登った
ピンク色の桜が空に映える

今年で、5度目の春
学園では怖がられることはなくとも、遠巻きに恐怖を含んだ視線
村に帰れば、相変わらずの視線
もう、疲れたな


「誰か、殺してくれない、かな・・・」


ぽつり、と呟く
それでも、生まれ持った戦の勘で死ねない
どこまで生にすがり付いているというの?
私は死にたいのに・・・


ザァァァと風が吹いて、桜の花が舞った
そうして俄かに騒がしくなる校庭
けれどそんなこと私には関係ないとばかりに、春の匂いに囲まれながら、私は目を閉じた




始まりは桜の木の上





戦闘センスってどうしたら日本らしくいえますかね・・・ものすごく迷ったんですけど・・・;
2011/04/21 戦闘センスは戦の勘とさせていただきました、拍手で提案してくださった方、どうもありがとうございました!




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