二人が出会って仲良くなってから別れるまでの間のおはなし

「あ、名前!!」
「よう弥三郎。
 結局ここにいるんだな…知らないぞ、いつの日か怒られても」
「怒られるのは慣れてる」

ついこの間知り合った女子とまた会ってしまうなんて自分でもどうかと思っている。
綺麗な着物に、綺麗な肌…。
どこをとっても良質育ちだとしか言えない。
私自身も悪い身だとは言わないが、ここまで良く育てられているのを見るとそこらの者とは違うということぐらいわかる。


「名前こそ怒られない?」
「夕暮れの少しの時間帰るのが遅くなったって何も言われはしないさ」
「そっか、良かった」

そう胸をなでおろしながらも微笑む弥三郎に目が奪われてしまう。


「そういや昨日から思ってたけどその首飾り凄く綺麗だね」
「…やらんぞ?」
「わかってるよ。
 そんな肌身離さず持っている大事な物を取るわけないよ」

弥三郎が言う通り確かに母が死んでから常に持っている。
そう改めて確信した途端に疑問に思った。


「なんでわかった?」

そんな可能性はないとは思われるけれどもしもお館様に害するものに通じて私のことを知っているのなら…。
そう思った途端に不安になった。

「僕には何もわからないよ。
 だけど君はきっとそういう子なんだろうなって思っただけ。
 大丈夫、僕は何も知らないよ」

無意識にか、私に伸ばされた手は頭を撫でた。


「僕を信じて」

まっすぐに私を捉えた瞳に曇りなどひとつもなかった。
まるでお館様みたい…。

この瞳なら信じられる。
これから先も。
ずっとずっと。


「信じるよ」



子供ながらに弥三郎に感じたものは別れの時の悲しみをより一層際立てた。
血の繋がりのない人間との別れの涙を教えてくれたのは弥三郎だった。



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なんだか「おませさん☆」とか言っちゃいたいぐらいのもんでした←
お題くださった方ありがとうございました!!





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