いとおしくってむずむずしちゃう



「猫カフェってなにするの」
「ひたすら猫を愛でるだけの夢空間だよ」
「じゃあ一人で夢見てればいいじゃん」
「だって寂しいじゃん」
「俺を巻き込むなよ」


とか言いつつ奢りに釣られてやってきたあたり満更ではないはず。私はそう信じている。

前から気になっていたけど、一人で来るのは勇気がいった猫カフェ。とりあえず暇そうなトド松くんを誘ったところ、適任がいると紹介されたのが一松くんだった。え、猫カフェ興味あるの? 一松くんが? 半信半疑で誘ったらまさかのOK。お手手つないで、とはならずに普通に並んで猫カフェに入店して、入口で厳重に手洗いうがいをしているわけだ。


「猫の扱いうまいね」
「別に」


適当に近くにいた猫が一松くんに自然と寄っていくのがすごい。店内は人がいなくて猫がたくさん寝転んでいる。そりゃあ、平日の昼間に人がいるとは思わなかったけれど。椅子に座ってテーブルで寝ている猫を撫でている内に一松くんはお気に入りの猫を膝に乗っけてお楽しみタイムに突入していた。にゃんにゃん。


「なんでカラ松じゃなくて俺なの」
「なんででしょう」
「そういうのうざい」
「うわあ、素直」


にしてもこの猫、ブサかわいい顔である。真っ白いゴージャスな毛並みというと、ペルシャくらいしか知らないから、たぶんペルシャちゃんだ。ペルシャちゃんの毛気持ちいい。


「あいつらは素直じゃないって言うのに」


ええ、この前足と顎の間のスペース。手ズボッとしていいかな? いいよね? ズボッ。おおおおえええええ温かいいいいなにこれ猫すごいいいい。


「まあ、私たちは友達だしね」
「は?」
「言いたいこと言える友達は必要だよねー」
「……俺たち、いつ友達になった?」


にゃーん。


「私、友達じゃない人と猫カフェ来ないよ」
「猫カフェ来たの初めてでしょ」
「そうだけど? ……あ、おやつ来たよペルシャちゃん」
「話通じねえ……」


にゃーん。


「俺のかの、彼女なのに! 俺の彼女なのに!」
「これストーカーの内に入らないかな」
「一応彼氏だからいいんじゃね? 一応」
「一応ね」
「いちおー! いちおー!」
「一応を連呼するな!」


ああ、泣きそうな顔してる。なんだろ、S気はないはずなんだけど、いろいろとこみ上げてくるものがあるわ。別に男の子と二人で遊びに行くくらい浮気のうちに入らないだろうし、わざわざ弟に手を出すような節操なしじゃないんだけど。


「かわいいにゃーん」
「性格悪……」
「お互い様にゃーん」
「語尾うざ……」
「うざい友達でごめーんにゃーーん」


おやつ食べて御満悦のペルシャちゃんからのちゅー。嫌そうな顔で受け入れる一松くんも猫っぽくて可愛いなあ。お店の外で覗いているのがバレバレな彼氏がさらに顔を歪めていた。後で思いっきり慰めよう。


「ていうか、前と喋り方違うよな」
「嫌いな人にはよそよそしくなるタイプなので」


野太い泣き声が外から聞こえた。

※彼女はとても疲れてます。
カラ松のおかげで最近S気が増しました。

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