駄菓子屋は夜を行く1
ある少女が死んだ。
物静かな少女だった。
学校の屋上からの、飛び下り自殺だった。
黒い髪は血で濡れて地面にへばりついており、眼鏡は粉々に砕けていた。
屋上には、彼女の靴が揃えて置かれていたという。
靴の中には遺書がぎゅっと詰め込まれていた。
震えるような小さな丸い文字で、たった数行、こう書かれていたのだった。
私はいじめを受けていました。
他の誰も助けてくれなかった中、たった一人、手を差し伸べてくれた人がいました。
それは城田カナちゃんです。
ありがとう、カナ。
私はあなたに殺された。
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