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実はの話

2020.02.18.Tuesday

 ADHDというのは、発達障害の一つです。
 発達障害というのは、別に、その人が障害であるとか、その人がなにか異質な存在であるとか、そういうことではありません。

 例えばの話。
 あなたは自転車に乗っています。バスは1時間に一本しか来ませんし、徒歩で通勤通学すると時間がかかってしまうからです。
 しかし、あなたが住んでいる町は階段だらけです。
 自転車では移動がしにくくてたまりません。
 でもバスを待っている時間もありませんし、歩くわけにもいきません。仕方なく階段がある場所では自転車を押して、階段がない場所に出たら全力で自転車を漕ぐことにしました。
 不便ですね。
 ものすごく早起きをして1時間に一本しか来ないバスに乗るとか、ものすごく頑張ってパルクールを習得して町中を駆け抜けるとか、そういう、しんどい努力が必要かもしれませんね。

 そんな感じです。
 私の中での、障害者のイメージとは。
 障害者=障害を持っている人、ではありません。
 障害物に困っている人=障害者です。
 先程の例え話でいうなら、自転車に乗って通勤通学をしている人が、「バスも来ない、徒歩では遅い、階段だらけの町」という障害物によって困らされている、障害者ということになります。
 その人たちは、他の人よりもものすごく早く家を出るとか、自転車から降りない(というか降りられない)ままアクロバティックに時間短縮のための通路を駆け抜けるとか、そういった努力をして生きています。

 ADHDの私は、短期記憶がボロボロで、大切なことでもすぐに忘れてしまう特徴があります。
 そこで、忘れないようにメモ帳に書き込む、という工夫をしています。そうすると、ある程度は覚えていられますし、メモ帳を見れば思い出せるのです。
 しかし、「メモを取るなんてダメだよ、ちゃんと自分の頭だけで覚えていてよ」と、メモ帳を取り上げられてしまったらどうでしょう。
 これが障害です。

 私にとっては、すぐに忘れてしまうという特徴が障害なのではなく、それに対策をさせてもらえない、という不便な状況が障害なのです。

 と、書いてきて、思ったことがあります。
 皆さんも思いませんか?
 多かれ少なかれ、誰でも何かしらの障害を抱えていないかな? と。

 有給を取りたいのに、なかなか取らせてもらえない。
 病気で休んだ分、有給が消費されてしまった(本当は病気で休んだ分は有給ではなく別の休みがもらえるはずなのに)。
 教えてほしいから質問をしたのに、「見て盗め!」と言われてしまって、手ほどきを受けられなかった。
 となりの席の人が仕事してくれない!

 社会にあちこち存在する障害物に悩まされているあなた。あなたも、障害に困っている人のひとりだったのです。
 それに対して、人事異動を願い出たり、休みのシステムを勉強して上司に訴えたりと、生きやすくなるための工夫をしていくことでしょう。
 発達障害を抱えている人も、わりとそういう感じで、工夫を重ねて生きています。ハードモードですが、頑張って。

 何が言いたいかというと。
 発達障害の人=普通ではない、異質な人。
 ではありませんよ、という話です。
 大多数の発達障害の人やグレーゾーンの人たちは、なんとか工夫をして、平凡に生きていこうとしている、異質でもなんでもない、ただの人なのです。
 私の中では、ですが……。

 これからも私なりに平凡に生きていく努力はします。生まれつき脳の構造が他の人と違うタイプ(ADHD)だからといって、そこに悲劇も喜劇もありません。
 どう付き合っていくか。どう向き合っていくか。です。
 生きづらいのですけれどね。
 力いっぱい生きづらいのですけれど。

 いつか、障害者という言葉が必要なくなる日を夢見て、なんとか生きていきたいです。
 がんばるぞ。

14:33|comment(0)

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