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脳内が忙しい話

2019.01.21.Monday

 私は精神科に通っている。
 それをひけらかすつもりもないが、隠すつもりもまたない。精神科通いなんてそう珍しいものでもないでしょう、という大雑把な判断によるものである。
 飲んでいる薬の名前は別に言わない。言われてもあなたは困るだろうし、私だって反応に困るからだ。そこを広げるつもりもないし。

 平気で夜更かしするタイプなので、その夜更かしを防止するお薬を飲んでいる、ということは白状しておこうと思う。
 寝るための薬を飲まないと深夜三時まで起きて、パソコンをつけて、スマフォをいじって、あっという間に昼夜逆転をして、その結果、精神的に疲れ切って弱ってメソメソしてしまう、という面倒くさいことになるのである。
 書いているだけで面倒くさい思いが去来してきた。あー。
 夜更かし、楽しいのだけど。
 反動がもものすごいから。
 ねえ。

 睡眠は大事。
 なので毎日健康的なサイクルで過ごしています。

 ここまでで何が言いたいのかといえば、精神と体のバランスを取るために医者に通い、自分のメンテナンスをしているって、なかなか賢いことなのでは? という圧倒的な自画自賛だったりする。
 うん。弱っている時は専門家に頼る、というのは賢いし合理的だ。良くやっていると思う。
 そんな考えが頭の中を渦巻いていたので、こうして書き出した次第。

 私の頭の中は常に忙しく、三つの予定があったら必ず一つは忘れるし、先程まで自分が何を話していたか覚えていないこともあるし、待ち合わせなどしようものなら遅刻を恐れるあまり三十分くらい早く到着してしまったりもする。
 何のために外出したんだっけ、とモヤモヤ悩みながら帰宅して、家の鍵を閉める。
 その直後に、消耗品が切れていたから買いに行くつもりだったのだ! と今更思い出して、脱力する。
 もう一度外出するの面倒くさい……だが行かねばならない、と気合を入れてドアノブを回す。
 開かない。
 そうだ、鍵を閉めたのだった、と思い出す。
 そんなポカが毎度のようにある。
 てんやわんや。
 頭の中で起きていることなので、はたから見ると静かに変な動きをしているだけに思えるらしい。いいな、私も私の挙動を客観的に眺めてみたかった。きっと面白くも厄介なのだろうな。

 私は過集中というものが発動すると、しばしば時間を忘れて没頭してしまうことがある。体力を使い果たすか、気力を使い果たすかすると解除されるようだ。その際、気づけば四時間たっていた、なんてことがよくあって、あまりの集中ぶりに自分でも唖然としてしまうのである。
 一日が二十四時間もないような気がする。
 私だけ十二時間くらいで明日が来ているような気がする。
 なんだか妙に時間がたつのが早いのだが、誰か細工をしているんじゃないだろうな、と疑うばかり。
 時間泥棒よ、自首してください。

 そんなこんなで、脳内は常に忙しい。
 わっしょいわっしょいという掛け声と、断崖絶壁に打ち付ける日本海の荒波と、悲しいメロディーを流し続けるオルゴールと、さて倉明が本日もスタートしましたと実況する謎の声が、いっぺんに頭の中で再生されるのだ。
 おまけに関係ないところで突如現れる画像と映像と色と数字の波もすごい。クセがすごい。
 驚くほど忘れっぽく、驚くほどせっかちで、しかし驚くほどのんびりで、驚くほど頭の中がうるさい!

 はたから見ると物静かな人間に見えるらしい。
 だって全て頭の中だけで起こっている騒動だから。

 ああ、今もわっしょいわっしょいが止まらない。脳内が忙しい。脳内が騒がしい。凍えそうなカモメ見つめ泣いている誰かとトルコ行進曲が止まらない。
 それでも日常を過ごしているのだから、自分って少しすごくないか? と自分に問いかける日々である。
 そう、つまり。
 精神科でこんな自分のメンテナンスをしていること、イズ、賢い、という話である。
 終了。

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