ついにこの日が来たかと、薄暗い眼で兜を外した騎士を見下ろす。

「我が王――――いえ、父様。私は、アーサー王の嫡女なのです」

その髪は俺と同じ金。その瞳は俺と同じ緑。
兜によって隠されていた同一と言って良い程俺と似通った顔が露わになり、そこには緊張と不安、そして高揚が入り混じった感情が浮かんでいた。
ああ、かつての俺も、ああだったのだろうか。
いや、かつての俺も、ああだったのだろうよ。

「俺に子はいない、『アーサー王』は永遠である。継承者は不要……此度の件は無かった事にしてやる、下がれ」

そうだ。
絶望に染まったそれも、まさしく俺そのものだ。

(……父上、)

眼前に置かれたそれは、どうしようもない現実を俺に告げていた。
この世界に俺が憧れ、憎み、目指し、超えようとしたあの人は居ないのだと。

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