Sketch | ナノ


高律


※もしも、一緒に住んでたら。恋人同士設定


「律、行ってくる」

玄関からまだ寝巻姿の俺にそう告げる高野さんは今日朝一で会議があるらしい。

「さっさと行ってください。あ、俺休みだからもう少し寝てますね。おやすみなさい」

俺はといえば、たまたま年休が取れたからといつもとは違う有意義な朝を過ごしている。

せっかくだから高野さんも休めればよかった、なんて微塵も思ってはいない、決して。

「鍵閉めとけ」
「閉めといてくださいよ」
「自分でしろ」
「あぁ、もう!それぐらいやってくれたって、ってなんですか?」

わざわざ玄関まで足を運ぶと突然腕を引かれる。

「行ってらっしゃいのちゅうは?」

鼻と鼻の先がくっついてしまいそうな距離でそんな事を言うから身体が強張るし、ついでに熱い。きっと情けない顔をしてるんだろう。

それからは毎度お馴染みのパターンで、俺は高野さんに良いようにされ

「んなもんありません!」
「あっそ。じゃあ休む」
「は!?」
「律が行ってらっしゃいのちゅうをしてくれないので休みます、って連絡する」
「やめてください!ほら、ふざけた事言ってないで行かないと遅刻しますよ!」
「やだ、行かない」
「あぁ!もう!」

つい、言う通りにしてしまうのだ。

高野さんの首周りの服を引っ張り頬にしたキスは、掠める程度で我ながら小心者と言うかなんと言うか。

「しましたから、行ってください」

恥ずかしさで更に熱くなる頬を見られるのがとにかく嫌で、居間へ逃げようと踵を返すと



「そんなんじゃだめ」



後ろから身体ごと抱き寄せられて口を塞がれる。

変なバランスで立っているのがやっとだとか、無理矢理すぎて首が痛いとか、色々あるのに段々と深くなるそれに息を求めるので精一杯だった。



「朝、玄関にて」
(「行ってらっしゃい」言葉じゃなくて君の熱で伝えて。でも本当に欲しいのは「行かないで」と訴える視線に声色、そして表情。たまにはわがままになる君を見せて。)


「いい子にしてろよ」

名残惜しげに音をたてたキスと遠ざかる足音に胸が痛んだ。

「早く帰ってきてください」

いい子で待ってたご褒美は貴方の、、、がいい。



▽突破的。ただ高野さんに「ちゅう」の単語を言わせたかったがために書きました。実際言ってたらキモ可愛いな(笑)

、、、はなんですかね。皆様の妄想力にお任せします。



2011/07/02 06:18


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