▼ いざみか
「いたっ」
とっさに手を離したものの、全く関係のない様子でそれは着地する。
にゃあ。と一声鳴いて振り向くのは小柄な黒猫。
ついさっき拾ってきたばかりらしい。勝手に俺の家に連れてきた帝人くんといえば餌を買いに行くとかなんとか張り切って出ていってしまった。
動物禁止とうたうマンションのこの部屋には俺とこの黒猫しか居ない。
帝人くんは猫なんだからタマだ、と平凡な名前をつけていたけどどうやらこいつは気に入らないらしくそっぽを向いてばかりだった。そりゃそうだ。こればかりは帝人くんが悪い。猫イコールタマだなんて可哀相じゃないか。
どうせこの家で飼う事になるんだから俺が名前を付けてあげよう。ご主人様はこの俺。うーん、と唸る様子を見上げる様は青い瞳がとても印象的で、黒い毛並みもあってか帝人くんにそっくりだと思った。
それからは単純で、そうだ、帝人くんが拾ってきたんだし、なんだか似てるし、帝人くんが居なくても帝人くんの名前を呼べるし、うん。君の名前はみかどくんにしよう!
試しにみかどくん、と声に出してみる。反応はなくてただじっと見つめられる。名前を呼んだら人間の帝人くんに会いたいなとかそんな事を考えながらもう一度呼ぶ。
みかどくん。
すると、にゃあと短い返事をして足元に擦り寄ってきた。気に入ったみたいだね。
さっきとは態度がまるで違うとこからやっぱり帝人くんに似てるな。と思っていると玄関からただいまの声が聞こえてくる。
人間の帝人くんが帰ってきたよ、と猫のみかどくんに話し掛けると尻尾をゆらゆらと揺らしながら出迎えに行く俺の後をついて来た。
(臨也さんとみかどくん)
帝人くんがみかどくんに嫉妬するまであと5分。
▽ありがちネタを一度やってみたくて玉砕!!!
2011/06/21 23:58
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