帰ってきた人達を見ていると、いつもは前の方にいた兵長が居ない
エルヴィン団長も居ない
どうしたんだろう....
そう思っていると、ハンジさんが見えたので駆け寄った
「ハンジさん!おかえりなさい!」
「マリン!ただいま」
やはり皆と同じように疲れているのか、いつもの彼女らしからぬ、力のない笑顔で返された
「あ、あのっ、リヴァイ兵長はどこでしょうか?エルヴィン団長やエレン君も見当たらないんですけど....」
「っ!」
ハンジさんのハッとした表情を見て嫌な予感がしてしまう
「...ごめんねマリン。私達を守ろうとして彼は...リヴァイとエレン、そしてエルヴィンは....連れて帰れなかった....ごめんね」
「そっ、そんなっ!」
こんな時に限って、嫌な予感が的中してしまう
足が、
手が、
頭が、
全身が震えているのが嫌でもわかる
「これ...彼の....君が持っていた方が良い」
「これっ.....」
それは、
間違いなく、
彼のマントだった
血が沢山着いているが、間違いない
彼のだ
「そ..そんなぁ....」
「マリン.....本当にごめんね.....ほら、部屋に戻って少し休みな?」
「....は.....い」
とぼとぼと部屋に帰り、彼のマントを抱きしめて、ベッドで横になる
もっと話がしたかった
もっと彼の事を知っておきたかった
もっと彼と、
一緒に居たかった.....
声を押し殺して静かに泣いていると、
部屋の扉が開く音がした
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