運命の人と出会うと、
電流がビビッと体を走っていく感覚がするとか、
そんなような例えがよく小説とかドラマでされるが
正直、実際そんなことあるわけねぇだろって思ってた
彼女に会うまでは
「花宮君、これ落としたよ?」
「えっ?あっ.......うん、ありがとね?助かったよ」
学校で誰かに話しかけられれば、部活以外ならいつも作り笑顔をして丁寧な態度をとって、すぐに離れる
今回もそうするはずだったのに、
振り返って彼女を見た瞬間に、
全身に電流が流れたかのように、一瞬体が痺れ、心臓がキュッと締められる感覚に陥った
「それじゃあ...」
他の女と違って、必要以上に自分と話そうとしてくれない彼女に、
焦って、気がついたら手を掴んでいた
「あ、のさ......名前........教えてくれない?」
「えっ?あぁ!ごめんね、宮内マリンです。花宮君は名前知ってるよ!1年生の時新入生代表だったもんね!」
優しく微笑む彼女から目が離せなかった
「あの.....花宮君?」
「あっ!ごめん、ありがとね宮内さん」
「いえいえ!じゃあまたね」
自分が手を離すと、くるりと回って背を向ける彼女
今ならあの表現も間違いではないと思う
俺はこれからどうしようか、
彼女の事に頭を使うのであった
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