いつもの昼休み




いつもと違うのは、



その場所が屋上で、自分の向かいに2つ年下の愛しい彼女が座っていること







「先輩にお昼さそってもらえて嬉しかったです」




可愛い笑顔で言われてつい自分の頬が緩む





「屋上でお昼、初めて食べました」








嬉しそうに微笑む彼女に手を伸ばす







頭を撫でてやれば、



もっと嬉しそうに笑ってくれる





「なぁ....せめて2人きりの時は名前で呼べよ?」



「えー?じゃあ....キスしてください」


「...は?」





付き合い始めてもうすぐ1ヶ月は経つが、
もちろん手を繋いだこともキスをしたこともあった


でも、今みたいに彼女の方からねだられた事はなくて、



思わず視線を逸らした




「....んだよ。別に今じゃなくても良いだろ?轢くぞ」



照れ隠しに言い慣れた毒を吐く








俺だってキスはしたい



もちろんそれ以上も





でも、大好きな彼女だからこそ大切にしたくて、何度も何度も我慢してきた





今キスをしてしまえば、
シチュエーション的に歯止めが効かなくなりそうで





「じゃあ良いです。先輩とはわかれます」




「えっ!あ、はぁっ?」




ささっと彼女は弁当を片づけ始めた





「いや、待てよっ!嘘だろっ!?」




立ち上がった彼女の腕を慌てて掴む





「じゃあ宮地先輩、キスしてください」






「っ!」





わざとなのか、名字呼びのまま

潤んだ瞳で、少し頬を赤く染めながらそう言われる




掴んだままの手を引いて、自分の元に倒れさせる



そのままそっと髪を横に流して、彼女がゆっくり瞳を閉じるのと同時に唇を重ねると





あぁ幸せだ





そう感じた







そっと唇を離すと、少し照れたように見上げてくるからぎゅっと抱きしめる





「なぁ、別れるなんて言うなよ....」



「冗談に決まってるじゃないですか」




悪戯っぽく微笑む顔に、ため息をつきつつも、安心した




「私今凄く幸せです....清志先輩......」





赤くなりながら名前で呼ばれて、喜ばない男はいないだろう






「俺もマリンと居られて幸せだ。これからももっともっと幸せにしてやる。だから、もう嘘でも別れるなんて言うんじゃねーぞ?」




そう言いながらまた頭を撫でてやる





「ふふっじゃあ、清志先輩も、喧嘩とかしても、別れようと思わないでくださいね?」




「当たり前だ馬鹿」








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