「マリン先輩.....」
部活終わり、着替え終わってから体育館に行けば、宮地さんと話をしているマリン先輩に近づく
「なぁに?」
宮地さんへ向けていた笑顔とは違う、少しぎこちない笑顔に胸が苦しくなる
「一緒に....帰りましょー?」
恐る恐る聞いてみると、一瞬驚いた表情をしてから
「いーよ」
そうやってまた笑ってくれた
やっぱり俺は宮地さんと比べたら子供っぽいんだろうか....
宮地さんと別れて、先輩のスクバをもってあげる
「いーよ!自分で持てる!高尾疲れてるでしょ?」
「疲れてないっすから!持たせて下さい!!」
何か上手くいかなくて、つい大声を出してしまった
「....高尾どうしたの?何かあった?」
俯いてしまった俺を、下から見上げてくるマリン先輩をぎゅっと抱きしめる
「...先輩、俺の事、好きになってよ」
「えっ?」
抱きしめても照れたりしない先輩に、あぁ意識されてねーんだなって思って鼻の奥がツンとする
「先輩とずっと一緒に居たい....先輩に愛されたい.....」
目頭が熱くなって、これ以上情けないところを見せたくないのに、涙が出てくる
「....ごめんね」
「っ?やだ、別れたくない!」
急に俺の背中に手を回してくれたと思ったら、謝られたから焦って先輩を抱きしめる力を強める
「違うよ、そうじゃない、不安にさせて、辛い思いさせてごめんね?って意味」
「えっ?」
「好きじゃなかったら付き合わないよ、そんなに軽い女に見える?」
「見えないっすよ」
「告白の返事もちゃんと返さなくてごめんね?話してると楽しいし、普段ふざけてるのにバスケするときは真剣で、私によく絡みに来る可愛い後輩の高尾君が好きです」
「先輩っ!」
初めて聞いた先輩の言葉が嬉しくて、もっともっと近くに居たくて、
苦しいくらいに抱きしめる
「苦しいよ高尾」
マリン先輩が優しく微笑む気配がしてそっと離れれば、
大好きな笑顔が俺を見上げていた
「また不安になることがあったら言ってね?明るい高尾が私は好きだよ?」
唇に柔らかいものが当たって、ちゅっという可愛い音がした
マリン先輩からキスしてくれた
先輩と初めてのキス
「マリン先輩もー本当に好き!大好き!何でそんなに可愛いんすか!」
ぎゅっとまた抱きしめれば俺の背中を優しくて撫でてくれるマリン先輩
「んー?高尾に愛される為かな?」
冗談っぽく言われた言葉にドキッとする
「先輩、もっかいちゅーしてください!」
「えー、今度は高尾からやってよ」
そう言われてそっと先輩を離して見つめ合う
「高尾顔赤いよ?」
「先輩は何でそんな余裕なんすか!」
「えー?年上だからかなー?」
「1つしか変わらないじゃないっすか!」
「1年も違うのよ!もう、早くしてよ!」
「ちょ!そんな急かさないでくださいよ!んんっ!」
緊張してなかなかキス出来なかった俺に、また先輩からキスしてくれた
「そのうち返してよね?」
可愛いウィンク付きで
あぁ、俺この人に会えて良かった
いつか倍返しにしてやる
そう思って俺はまた、
先輩を抱きしめた
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